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原博実にとっての“最恐”Jクラブ。
オシム千葉との死闘、加地のPK直訴。
posted2020/05/21 19:00
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
J.LEAGUE
Jリーグ歴代最強チームを探せ。悩むよね。難しいよね。僕も歴代タイトル獲得クラブ一覧を眺めながら、迷いに迷いました。読者のみなさんも、きっとそうでしょう。
Jリーグの公式YouTubeチャンネル内「JリーグTV」(https://youtu.be/IOZYTEDvPR4)では、5つのクラブを紹介しました。今回はそのコラボ企画として、僕が監督時代に対戦して強烈なインパクトを受けたJリーグ歴代“最恐”クラブについて、お話したいと思います。
僕がFC東京の監督を務めていた2000年代、度肝を抜かれたのがイビチャ・オシムさん率いるジェフユナイテッド市原(現・千葉)でした。特に、'04年のファーストステージ第13節、市原臨海競技場でのゲームは忘れられませんね。あの試合、開始直後に鈴木規郎が嘘みたいなシュートを決めて、FC東京が先制。42分にジェフの佐藤勇人が退場して、1分後に鈴木がまた決めた。10人の相手に、2-0。正直、ハーフタイムには「勝てるだろう」と思っていました。
驚かされたオシムの大胆な采配。
ところが後半、オシムさんは1人少ないにも関わらず、最終ラインに余っていたリベロを削って、前のめりに向かってきた。次々とゴール前に人が飛び込んできて、マルキーニョスに2点を決められたんです。85分には中島浩司まで退場して9人になったのに、そのまま引き分け。もちろん悔しかったけど、それ以上にオシムさんの大胆な采配と、それに応える選手たちのプレーは素晴らしいと思いました。
お互いに攻撃的なチームでしたから、戦っていても楽しかった。セカンドステージでの再戦では、逆に開始6分で2点をリードされたけど、そこからFC東京が巻き返して3-3の引き分け。殴り合いのような展開は、お客さんも楽しんでくれていた気がします。