熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
シャムスカは今もトリニータを愛す。
西川、森重、清武にファンとの逸話。
posted2020/05/22 11:40
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Pericles Chamusca
日本のファンに馴染み深いブラジル人監督が、数年前から中東で奮闘している。
ペリクレス・シャムスカ、54歳。
MFとしてプロを目指したが、思いは果たせなかった。大学で体育学を修めるとフィジカルコーチを経て1994年、28歳の若さで指導者となった。
ブラジル各地の中小クラブを渡り歩ると2004年、サンパウロ郊外の小クラブ、サントアンドレ(現在は全国リーグ4部から陥落して州リーグ2部)の監督に就任する。
ブラジルリーグと並ぶ2大タイトルであるコパ・ド・ブラジルでアトレチコ・ミネイロ、パルメイラスといった超格上クラブを次々に撃破し、決勝で名門フラメンゴと対戦した。ホームで2-2で引き分けた後、リオのマラカナン・スタジアムで、7万人を超えるフラメンギスタの前で2-0と快勝して奇跡の初優勝。一躍、有名になった。
2005年9月から2009年まで大分トリニータの監督を務め、2008年にクラブ史上初のタイトルとなるナビスコカップを制覇(これは、彼個人にとっては2004年の偉業の再現だった)。この年、Jリーグでも4位と大健闘した。
その後、ブラジルの中堅クラブ、カタールのクラブなどを経て2014年にジュビロ磐田(当時J2)を率いたが、シーズン途中で退任。カタールやUAEのクラブを経て、2018年10月からサウジアラビアの中堅クラブ、アルファイサリーを率いている。
サウジアラビア・リーグは昨年8月22日に開幕し、今年5月30日まで行なわれる予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全30節中22節を終えた3月14日から延期されている。
ブラジル北東部サルバドールの自宅で待機する監督に話を聞いた。
大分には優れた選手が大勢いた。
――2005年9月、最下位と同勝ち点の17位で2部降格濃厚と思われた大分の監督に就任。7勝3分2敗と成績を急上昇させ、「シャムスカ・マジック」と言われました。
「監督就任後、最初の試合までに、この年のトリニータの全試合、そして他チームの多くの試合を映像で確認した。トリニータには優れた選手が大勢おり、決して下位に沈むようなチームではなかった。また、トリニータが絶対に勝てないと思うチームも見当たらなかった。
だから、やるべきことをすべてやれば、必ずチームの成績が上向くと思っていた」