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〈素朴な疑問〉プロ野球の「珍プレー」っていつから? みのもんたが振り返る、伝説の“宇野のヘディング事件”とは 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2021/04/12 17:01

〈素朴な疑問〉プロ野球の「珍プレー」っていつから? みのもんたが振り返る、伝説の“宇野のヘディング事件”とは<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

伝説となった1981年の「宇野ヘディング事件」

 司会はプロ野球ニュースと同じ佐々木信也氏と土日担当のみの氏のコンビ。ナレーションも引き続きみの氏が担当した。

「珍プレーがプロ野球ニュースのワンコーナーでやっていた時から『あのナレーションは誰なんだ』って声がたくさんあったみたい。当時の僕はテレビもこれしか出てなかったしね。ナレーションをやれたのは、元々フジテレビでは雨で試合が中止になった時にメジャーリーグを流していてね。それが英語の実況で何が何だかわからないから、内輪でテキトーに声をあててたんですよ。スポンサーはサントリーだ。缶ビール飲みながら、今じゃ絶対に使えないことバンバン言ってね。それがウケちゃった」

 初回から高視聴率を叩きだした『珍プレー好プレー』はその後年2回の特番となり、'87年から司会は島田紳助・板東英二体制になるも、みの氏のナレーションだけは不変だった。それは、コラムニストのナンシー関氏が「100%純正のみのもんたの結晶」「型がない。まるでフリージャズ」と絶賛したほど天下に比類なき才覚。他局が次々と類似番組を出しても物足りなさを感じるほど、我々はみの氏のナレーションに中毒症状のような心地よさを覚えていた。

「僕はあんまりね、喋らないんだよ。宇野さんのヘディングもそうだけど、映像だけで面白い珍プレーは十分に面白いでしょ。それに僕は野球に詳しいわけじゃないから、ルールやプレーの内容にはほとんど触れません。投げた、打った、捕った、走った。川崎球場で球場づきのおじいちゃんの医者が出てきたら『はい~、はい~』という程度ですよ」

マシンガンというより“間と緩急”

 実際に宇野のヘディングにみのがあてたナレーションを見てみよう。

さぁご覧頂きましょう。この打球の行方。お馴染み宇野さんが、そのボールの真下でごつーん……ボールは大きく弾いて転々と。宇野さんのおでこっ! 大丈夫ですか、宇野さん。強いおでこね!

 意外なほどシンプルである。みの氏のナレーションは、印象的なフレーズや言葉をマシンガンのように並べ立てるものではない。「さぁいらっしゃい」「アァッ! もうやめてっ!」「俺を誰だと思ってるんだ」「星野だぁ~」など、単純な言葉や声にならない声を駆使し、“間と緩急”で人物の心情を抉りつつ、映像を引き立てる名人芸だった。

【次ページ】 「選手がマジメにやっているから余計に面白い」

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