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バク宙もスキーもこなすマスコット。
J3鳥取ガイナマンの本音訊いてみた。 

text by

石倉利英

石倉利英Toshihide Ishikura

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photograph byGAINARE TOTTORI

posted2020/05/02 09:00

バク宙もスキーもこなすマスコット。J3鳥取ガイナマンの本音訊いてみた。<Number Web> photograph by GAINARE TOTTORI

Jリーグ初となるヒーロー系マスコットとして誕生したガイナマン。Jリーグ再開の日に向けて、バク宙の練習に励んでいるとか。

エヴァンゲリオンとの関係とは?

 コンセプトが決まり、竹鼻氏がマスコットの制作を依頼したのが、『新世紀エヴァンゲリオン』などの制作で知られるアニメ制作会社ガイナックスだった。鳥取県米子市出身の赤井孝美氏(現米子ガイナックス株式会社代表取締役)が同社立ち上げメンバーの1人で、ガイナックスもガイナーレも、鳥取県西部の方言で“大きな”を意味する“がいな”が名前の由来というつながりがあった。

 竹鼻氏は赤井氏に、ヒーローをモチーフとすること、クラブカラーのライトグリーン(鳥取県の名産である二十世紀梨の色)を使うことなどをリクエストした。複数の案が出てくると思っていた竹鼻氏は、やがて提示された1つだけの案に驚く。

「いきなり、あのデザインが出来上がっていました。『これだ!』と思いましたよ」

 日本書紀の中で「鳥取」の由来となっている“白い鳥”をイメージして、白い羽が生えたスタイリッシュなヒーローが、そこにいた。

 日本で人口が最も少ない鳥取県をホームタウンとするガイナーレは、「小さいけど強い」「小さくても強い」という意気込みを示すスローガンとして「強小(きょうしょう)」を掲げている。マスコットの名前は一般公募と投票で、まさにヒーローという『強小戦士 ガイナマン』に決まった。

成人男性の体型に近いガイナマン。

 ただしマスコットである以上、2次元のデザインを「立体化」しなければならない。竹鼻氏は以前、あるマスコットの“中の人”を務めた経験を踏まえて、デフォルメされて体が極端に大きいものや、足が短いものではなく、「ヒーローなのだから、しっかり動けるものにしよう」と考えた。

 そうやって完成したのが、一般的な成人男性の体型に沿った現在のガイナマンだ。デザインが発表された際、身長と体重が「日によって異なる!?」となっていたのは……つまり、そういうことなのである。

 動けるマスコットとして誕生したガイナマンは現在も、その持ち味を遺憾なく発揮している。試合前は各種イベントに参加しながらファン・サポーターとふれ合う。ハーフタイムには側転からのバク宙という、他クラブのマスコットが真似できないようなアクロバットを披露し、試合後は鳥取の選手たちと一緒にスタンドへのあいさつに同行している。

【次ページ】 子供たちへ作った体操、発見ノート。

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