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スポーツマンガと舞台、謎の好相性。
テニミュとペダステの成功の理由。
text by
kuu(マンガナイト)kuu
photograph by(c)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
posted2020/04/07 19:00
マンガの世界を舞台上で表現する2.5次元の世界の筆頭といえば「テニスの王子様」である。
アニメより舞台が先だった弱虫ペダル。
今回取り上げるもう1つの作品『弱虫ペダル』は2008年から連載が開始された。アニメが大好きで秋葉原に通っていた主人公の小野田坂道が、自転車の楽しさを知り、自身の隠された才能を武器に仲間と全国を目指すというストーリーである。
女性人気を獲得するスポーツマンガはジャンプでの連載が多い印象があるが、こちらは週刊少年チャンピオン。ある書評投稿サイトでは、初期のマンガの表紙について「怖い」という意見も少数だが見受けられた。
自転車というテーマも相まって、冒頭で上げたような作品群とは少々イメージを異にしていたと思う。それでも徐々に人気を上げ、最初のアニメは2013年10に開始。すでに第4期まで放送され、好評を博している。
ではこちらの舞台化はいつ始まったかというと、なんとアニメ化に先行する2012年である。マンガ原作作品として、「アニメ化のち2.5次元化」という王道ルートの逆転はかなり珍しい。
舞台化は興行成績が読みづらいので、知名度が高いことが条件になるからだ。実際の企画、制作作業はかなりの部分で並行して進められていたと推察するが、公開時期は舞台化が先行している。
作品の起爆剤として舞台化を行う。賭けとも言えるメディアミックスプロジェクトの進め方と言えよう。
テニミュのノウハウを存分に活かして。
結果として『弱虫ペダル』の舞台化、通称「ペダステ」の動員数は徐々に増えていき、今ではこちらも「テニミュ」同様に定番となった。
関西の小劇場界出身の劇作家である西田シャトナーを演出に迎え、小道具のハンドルと役者の動き及びセリフ、カメラワークでロードレースを表現。肉体を酷使した熱のこもった舞台は話題を呼び、その人気が原作マンガを盛り立てることに成功した。
そこには「テニミュ」が生み出した舞台化のノウハウが存分に活かされていることだろう(「テニミュ」と「ペダステ」は主催する会社が同じマーベラスである)。“先輩”の姿を見て、さらに「ペダステ」は走り続ける。