オリンピックへの道BACK NUMBER
羽生結弦、宇野昌磨、紀平梨花……。
世界フィギュア中止、虚無感と安堵。
posted2020/03/13 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
3月16日に開幕する予定だったフィギュアスケートの世界選手権が中止となった。
発表されたのは3月11日。開催地モントリオールのあるカナダ・ケベック州政府が決定し、国際スケート連盟、カナダスケート連盟に伝達。両者はその決定を受け入れ、双方から関係者に伝達された。
前日まで、国際スケート連盟、カナダスケート連盟は開催する姿勢を貫いていた。
3月10日、大会にかかわる関係者向けに必要な手続き(必要に応じて熱を測定し表に記入して提出すること、各々が大会期間中に心がけるべきことなど)を持参すべき書類のフォーマットとともに通知した。
そのため、開催の是非をめぐり議論がなされてはいたものの、予定通り開催される可能性が高いと捉えられていた。
一転、一夜にして覆ったことになる。
中止は妥当だが、選手の心中を思うと……。
ひとつには、世界選手権中止が決定される前に出された、WHOによる「(現状は)パンデミックに相当する」という見解が影響していることは想像に難くない。
どれだけ開催したいと考えていても、実質、世界各地での状況を見れば通常の実施は難しかったし、中止の決定は妥当であるだろう。
ただ、選手の心中を思えば、別の思いも湧いてくる。
長年、小さな頃から慣れ親しんだ練習場所、コーチのもとを離れ、環境を一新した宇野昌磨。
苦しみながら今後を模索し、進路を見定めることができた彼にとって、世界選手権は楽しみな場だっただろう。