フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ネイサン・チェン「残念だが正しい」
世界フィギュア中止の“舞台裏”。
posted2020/03/12 17:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
多くの関係者が懸念していたことが、現実となってしまった。
ショートトラック、スピードスケートなどの大会の中止が相次いでいた中で、現地時間2020年3月11日の午後3時30分、カナダのケベック州政府が3月16日からモントリオールで開催される予定だった2020年フィギュアスケート世界選手権を中止すると発表した。
世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの「パンデミック」宣言をした数時間後のことだった。
この発表を受けて国際スケート連盟(ISU)とカナダスケート連盟は、正式な大会中止通知を関係者に配布した。
「残念だが正しい判断」とネイサン・チェン。
米国フィギュアスケート連盟(USFSA)はこの発表を受けて、急遽昨年とその前年の世界チャンピオン、ネイサン・チェンと、モントリオール世界選手権代表に選ばれていた2020全米選手権2位マライア・ベルの共同電話会見を行った。
チェンはこの大会中止の知らせを受けた気持ちを、このように語った。
「すべての選手は、この大会のために長い時間をかけて練習し、準備をしてきました。でもこのウイルスがどれほど早く世界に広がっているかと考えると、正しい判断だったと思う。この決定が出される前から、ぼくは周りの人たちの心配をしていました。ラファエルは特に遠征で色んなところに行っていたので、大丈夫かなと思っていたんです」
チェンのコーチであるラファエル・アルトゥニアンは、つい先日エストニアのタリンで開催された世界ジュニア選手権から戻ってきたばかりである。
「これでようやく、みんな自分の家などに落ち着いて滞在できることになったのはよかったと思う。でももちろんアスリートとしては、すごく時間を費やして準備をしてきたので、ちょっと残念な気持ちはあります」