オリンピックへの道BACK NUMBER
羽生結弦、宇野昌磨、紀平梨花……。
世界フィギュア中止、虚無感と安堵。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2020/03/13 17:00
世界フィギュアの開催中止を受けて、羽生結弦は残念な思いの一方、安堵する一面もあることを語った。
スポーツには「平和」な環境が必要。
結局のところ、スポーツを思う存分に楽しむには、広い意味での「平和」な環境が求められる。
分かりやすいところでは、戦争のもとではスポーツを楽しむことはできない。それを実感する先人たちは、平和を希求してきた。
戦争という言葉を用いるのは大げさすぎるかもしれないが、いずれにせよ、世界選手権を開くにはふさわしい状況にはなかった。選手やコーチなど現場の努力を思った上で、そう感じる。
北京五輪の出場枠はどうなる?
いずれにせよ、世界選手権は中止となった。
それによって生じる課題は多い。
世界選手権の代替開催を模索する動きもあり、今年の秋を検討する声も生まれている。
だが、来シーズンも世界選手権があること、シーズン全体を通じた青写真、ピーキングを考えれば、シーズンの序盤と終盤、2度にわたって世界選手権を開催することは現実的ではない。
また、世界選手権は、翌シーズンの世界選手権の国別の出場枠のかかる大会でもある。
今回の世界選手権の成績により、来シーズン、各国から出られる選手の数が決まる仕組みになっている。そして来シーズンの世界選手権の成績は、2022年の北京五輪の出場枠へとつながる。
そういう意味でも、出場枠の扱いをどうするかは、大きな課題となる。
それ以外にも、課題はさまざま生まれる。
でも、解決しなければならないし、解決する道はある。
そのためにも、国際スケート連盟をはじめ、現場を尊重した熟慮が求められる。