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<ベイスターズをのぞいてみよう!>
ファーム監督・三浦大輔の指導法。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byAsami Enomoto
posted2020/03/13 11:50
通算172勝184敗、歴代9位の2481奪三振。昨年は一軍投手コーチ、今季からファーム監督を務める。
ファームで気になる選手は?
――気になる選手はいますか。
現役時代に一緒にやっていた選手もけっこういますし、まずはファームにいる全員をフラットに見ることにしています。
――ドラフト1位の森敬斗選手はいかがですか。
良いものを持っていますし、さすがドラフト1位だなと。でも、まだまだファームでやらなきゃいけないことはたくさんあります。一軍に上がっても数試合なら結果を出せると思いますけど、たった1カ月でファームに戻ってくることがないように、土台をしっかり作らないといけません。1日1個積み上げられるスキルもあれば、何日もかけて1個身につくものもあると思うので。森以外にも楽しみな選手は多いですが、物事には順序があるので、みんなそれを踏んでいくことが、結局は近道なんです。
―― 一方で桑原将志選手、倉本寿彦選手といったかつてのレギュラーが、今春キャンプはファームスタートでした。
実績のある選手とも、常に話はしています。「やることをやっているのはわかっているから、下を向かないようにな」と。下を向いている選手はいませんけどね。どうしても同年代がレギュラーで活躍しているのを見ると、悔しくて考え込んでしまいますから。
よく言っているのは、「シーズンに入ればチャンスは必ず来るから、そのときの準備をしっかりやろう」と。それは若手に比べたらベテランのチャンスの数は減っていくものですけど、ゼロということはありません。チャンスを10回もらってもつかめない選手もいれば、1回でつかめる選手もいますから。その1回のために、しっかり準備しようと。
1人でも多く一軍へ送り出すこと。
――三浦監督は2016年の引退から2年間、プロ野球の現場から離れて、2019年に一軍投手コーチとしてベイスターズに戻ってこられました。
球団から声をかけていただいて、こればかりは自分でタイミングを選べませんから、いい機会だと思ってユニフォームを着る決意をしました。昨年は投手コーチとして143試合とクライマックスシリーズの3試合、プレーボールからゲームセットまでベンチにいられたことは、現役時代にもなかったことですし、いい経験でした。
――チーム完投数が2018年の2から2019年は6まで増えたのも、三浦監督の功績ではないですか。
うーん、とはいえブルペンにはかなりの負担がかかりましたから。投手運用については、もっと上手くできたんじゃないか、選手の力になれたんじゃないかと、反省も大いにありました。
――将来的に一軍監督になりたいという思いはあるんですか。
どうでしょうね。現役引退の時にも言いましたけど、なりたいと言ってなれるものではないですから。でも、機会があったときにしっかり務められるよう、勉強はしていきたいと思っています。夢や目標はありますけど、今はファーム監督としてやらないといけないことが多くて、それで精いっぱいです。1人でも多く、一軍で活躍できる選手を育てることが一番の目標です。
――ベイスターズファンとしてはいつか三浦監督の誕生を見てみたいけれど、結果が出なかったときに批判される姿を見たくないという複雑な思いもあります。
それは勝負の世界にはつきものですから。現役時代から負けて批判されることを気にするよりも、勝って喜んでくれる人のために頑張ろうと思ってやってきました。そう考えられるようになったときに、気持ちが楽になったというか、応援が心強く感じたんです。