オリンピックPRESSBACK NUMBER
スノーボード伝統の一戦でW優勝!
角野友基、戸塚優斗が見せた創造性。
posted2020/03/11 18:00
text by
野上大介Daisuke Nogami
photograph by
BURTON
BURTON US OPENは現存するスノーボードの大会では世界最古の歴史と伝統を誇る。スノーボードの生みの親として知られる故ジェイク・バートンは、1977年に自身が創業したブランド「BURTON」はもちろんのこと、当時は得体の知れなかった横乗りの“遊び”をプロモーションするために、同ブランドの拠点である米バーモント州の小さなゲレンデ、スーサイドシックスで大会を開催したのがはじまりだった。
伝統の一戦は現在、超高級リゾートとして名高いコロラド州ベイルマウンテンリゾートで行われている。2月24~29日にかけて開催された今年の大会では、スロープスタイルでは角野友基が、ハーフパイプでは戸塚優斗がそれぞれ表彰台の中央を射止めた。両種目で日本人がダブル優勝を飾ったのは、5年ぶり2度目の快挙で、そのときのスロープスタイル覇者も今回と同じく角野だった。
トップランカーを抑えて優勝した角野。
「あまり言葉にならないですね。最高、ただそれだけ。スノーボードができてる今がホンマに幸せです」
大会直後、角野は噛みしめるようにこう話してくれた。この5年間、ケガなどの影響により表彰台に上がる機会が激減し、スロープスタイルに至っては皆無だっただけに、喜びもひとしおだったに違いない。
これまでのスロープスタイルでは存在しなかった2連のトランジションで誰よりも高く遠くへ宙を舞った角野は、ジブセクションでも世界最高レベルのトリックを連発した。そして、ラストとなる十八番のストレートジャンプではスイッチ・バックサイド・トリプルコーク1620(反対向きのスタンスから背中側へ4回転半回りながら縦方向にも同時に3回転)という大技を決めたのだ。
平昌五輪金メダリストのレッド・ジェラード(アメリカ)ら名だたるトップランカーを抑えての堂々たる優勝だった。