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稲垣啓太も共感するヒップホップ界の
カリスマ・AK-69の“本気”の生き方。
posted2020/02/14 11:50
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Takuya Sugiyama
メジャーリーガー筒香嘉智や巨人の坂本勇人、ボクシングの井岡一翔やラグビーの稲垣啓太ら多くのアスリートが、日本のヒップホップシーンの第一線を走り続けるAK-69の楽曲に魅せられ、決戦前に彼の音楽に聴き入り、気持ちを高ぶらせている。
アスリートにこれほどまでに支持される、AK-69とはいったい何者なのか――。
愛知県生まれのAK-69は、17歳で初めてマイクを握り、ヒップホップ歌手としてのキャリアを出発させた。
「メジャーデビューもしたかったし、大手の事務所にも入りたかった。でも、現実的には入れなくて」
いわゆる「売れない」「勝ち上がりづらい」と言われる状況からのスタートだった。
それでも、地元を拠点にインディペンデントな活動にこだわりながら、独自の道を歩んできた。そんな厳しい環境のなかで生まれた不屈の精神が、彼の信条になっている。
「あえて厳しい道に行くほうが、男としてかっこいい」
玉砕覚悟の決意を綴った『Flying B』。
彼が書き下ろす楽曲には、そうした闘う気持ちや諦めない闘志が込められているものが多い。
たとえば、代表曲の1つ『Flying B』は、自身が玉砕覚悟で新しい事務所を設立し、厳しい道にチャレンジする決意を綴った曲だが、ラグビーの稲垣啓太も「現状に満足をせず、常に上を目指しているというような内容の力強い歌詞で奮い立たされる」とインスパイアされているように、アスリートが困難や挫折に立ち向かう姿とリンクする。やると決めたことには本気で向き合う生き方が、多くのアスリートの共感を呼んでいる。
また、ボクシングの井岡一翔とは十年来の友人関係を築いている。昨年2度の世界戦では試合前の入場でAK-69が『ロッカールーム -Go Hard or Go Home-』を生披露し、エールを送った。井岡が「ボクシングを辞める」と引退発言をしたときには、「俺も再起をかけて武道館を成功させたんだから、一翔も再起をかけよう」と発破をかけた。
プロ野球選手の登場曲、AbemaTV大相撲のテーマ曲、Bリーグ・名古屋ドルフィンズの公式テーマソングに起用されるなど、AK-69とスポーツとのシンクロ率は高い。