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<評論対談>
萩原健太×内田正樹「桑田佳祐はアスリートで、サザンはスポーツだ」
posted2020/02/14 15:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Hirofumi Kamaya
桑田佳祐が作りだす楽曲には、人の感情を動かす力がある。そこに綴られた歌詞は、独特のメロディーに乗ってグルーヴする。ヒーローの栄光と孤独、光と影を描きながら、爽快感・高揚感をもたらすのはなぜか? ミュージシャン桑田のアスリート性とサザンとスポーツとの関係を、2人の音楽評論家が読み解く。(Number997号掲載)
内田 萩原さんはサザンオールスターズがデビューした1978年の数年前から桑田さんと親交があり、学生時代はともにバンドを組んでいらっしゃったこともありました。その頃から桑田さんを知る一人として、東京オリンピックが開催される2020年に書き下ろされた民放共同プロジェクト“一緒にやろう”の応援ソング『SMILE~晴れ渡る空のように~』を聴いてどんな感想を抱きましたか?
萩原 デビュー前に桑田佳祐が持つ才能に触れた僕からすれば、その後の彼とサザンの活躍は当然のこととしても、今回のような国民的イベントを代表するというのはすごく“衝撃的”ですね。かつて紅白歌合戦で三波春夫に扮装して『チャコの海岸物語』を歌っていた彼が今年、三波さんが『東京五輪音頭』で担ったように、2020年の象徴となる曲を歌う。このストーリーを考えると感慨深いですね。あんなマニアックな男が、こんな大役を託されてというような……。
内田 桑田さんは近年、広く開かれたポップスを書かれています。その一方で、『ヨシ子さん』などの楽曲に見られるように、時々わざとやらかすというか、爆発するところがあって。そこはご自身の中でのバランスなのかもしれない。