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ハミルトンが語ったF1と環境問題。
「何を信じて、どう選択するか」
 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2020/01/19 20:00

ハミルトンが語ったF1と環境問題。「何を信じて、どう選択するか」<Number Web> photograph by Getty Images

2014年から導入されたパワーユニットはエンジンと2種のエネルギー回生システムの複雑な組み合わせで高い熱効率を実現している。

ベッテル「確かにこのスポーツは……」

 こうしたコース外でのハミルトンの言動を、コース上のライバルであるセバスチャン・ベッテルは次のように支持する。

「確かに僕たちが愛しているこのスポーツは、モータースポーツと呼ばれていて、マシンにはエンジンが積まれている。だからといって、その存在すべてが非難され、僕たちが環境問題を語ることが詐欺だというのは、ちょっと違うと思う。

 僕たちが抱えている環境問題は深刻な問題で、解決するのは簡単なことじゃない。もしかしたら、いずれその日が来るのは避けられないのかもしれないけど、世界中の人々ができることを何かひとつずつでもやれば、それによっていつの日か世界が変わるときが来るかもしれない。僕はそう願っている」

 ベッテルもまた、'19年のイタリアGPにはスイスの自宅からイタリアまで、飛行機でも車でもなく電車で移動していた。

イメージより環境への配慮は強い。

 F1自体も、環境改善に取り組んでいる。現在F1マシンに搭載されているパワーユニットは自動車メーカーの高度な技術によって燃費が大幅に改善されており、一般の方々がイメージしているよりもはるかに環境に優しいスポーツとなっているのだ。

 例えば、現在6連覇中のメルセデスのパワーユニットは、ファクトリーのテストベンチでの数値では熱効率が50%を超えている。

 熱効率とは、加えられた熱量(F1のパワーユニットの場合はガソリン)から生み出された有用なエネルギー量のことで、かつての自然吸気時代のエンジンが30%以下の熱効率だったことを考えると、大きな進歩である。日本で最も売れているハイブリッド車でも約40%だから、「F1=環境に悪い」というイメージは必ずしも正しくはない。

【次ページ】 未来ではなく、現在の問題である。

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