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ハミルトンが語ったF1と環境問題。
「何を信じて、どう選択するか」
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2020/01/19 20:00
2014年から導入されたパワーユニットはエンジンと2種のエネルギー回生システムの複雑な組み合わせで高い熱効率を実現している。
未来ではなく、現在の問題である。
とはいえ、ハミルトンが語っているように、いま大切なのはどちらが正しくて、どちらが間違っているのかを議論することではない。すべての人が環境について考え、自分にできることを実行することを優先しなければならない。
環境問題は未来の課題ではなく、すでに直面している喫緊の問題だからだ。
そのひとつが、オーストラリア南東部を中心に各地で続く森林火災だ。メルボルンで1月中旬から始まったテニスの4大大会の1つ、全豪オープンの予選では、火災による大気汚染で一部の試合の開始時間が遅れたほか、市民生活にも影響が出始めている。
メルボルンはF1の開幕戦オーストリアGPの舞台である。グランプリが開幕する3月13日まで、すでに2カ月を切った。
オーストラリア出身のダニエル・リカルドは、母国の被災者に向け募金活動を開始。自身のレーシングスーツを提供した。ハミルトンも50万オーストラリア・ドル(約3800万円)を寄付した。
F1は'30年までに二酸化炭素排出量“実質ゼロ”を目指すと発表した。そのF1を愛する私たちは、何をすべきか? 自分の心に、そっと問いかけてみたい。