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若返る長谷部誠、宮市亮は右SBに。
ブンデス日本人・前半戦通信簿。 

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2020/01/13 11:50

若返る長谷部誠、宮市亮は右SBに。ブンデス日本人・前半戦通信簿。<Number Web> photograph by Getty Images

負傷続きで苦しんだ宮市亮だが、ザンクトパウリで充実のシーズンを送っている。

コスティッチとの関係性は良好。

 そんな鎌田にも光明が見えています。それはチームが誇る頼もしきチャンスメーカー、“左サイドの槍”フィリップ・コスティッチとの関係が良好であることです。

 パワフルなドリブル突破と正確でパンチ力ある左足キックが武器のコスティッチは、鎌田のプレーに理解を示しているようで、最近はハイクロスだけでなく鎌田を狙ったグラウンダークロスをたびたび見せています。

 コスティッチは一見すると独善的なプレーに走る印象がありますが、それは大きな間違い。彼は仲間の特長を引き出そうと腐心していて、鎌田の持ち味を活かすには極小エリアでのコンビネーションや足下勝負が最善と理解しているようです。

 足首の靭帯を痛めたという情報が気がかりですが、鎌田&コスティッチのコンビが閉塞感漂うチームに新鮮な空気をもたらせるか。それがウィンターブレイク明けのアイントラハト復調の鍵を握りそうです。

大迫は残留争いのまっただ中に。

 ブレーメンの大迫勇也も、チームの有事を憂えています。フロリアン・コーフェルト監督体制3季目の今シーズンは負傷者が多く、ホーム、アウェーに関わらず低調なゲーム内容に終始しています。

 ウィンターブレイク入り前の順位は2部降格圏の17位。普段のコーフェルト監督は饒舌で、試合後の監督会見では勝っても負けても長話が常なのですが、ここ数試合は言葉数が少なく、明らかに意気消沈している様子。また試合後にピッチからロッカールームへ引き上げる選手たちの表情も沈みがちで、ブレーメンのチーム状態が下降しているのは明らかです。

 そんななか、大迫は低迷するチームに苛立つ仕草が目につきます。ただし、その態度はチーム全体を鼓舞しているようにも見えます。試合開始前は激しく手を叩いて相手へ圧力を掛ける姿勢が顕著ですし、失点すると誰よりも早くセンターサークルに戻ってボールを置き、仲間に対して奮起を促してもいます。

 今年で30歳になる大迫は自身がチームの中核であることを自覚していて、その責任感を隠すようなことをしません。

 10代や20代半ばまでは黙々とプレーに専念する姿勢を貫いていたように見えましたが、今の彼はチームを背負う気概を体全体から放散しています。4-1-2-3の「3」の真ん中に君臨する彼が、あの抜群のポストプレーで味方の攻撃を促進し、相手ペナルティエリア内で迫力のあるフィニッシュワークを実践できれば……。

 大迫はFW陣が手薄なブレーメンの正真正銘のエースとして、その責任を果たさねばなりません。

【次ページ】 原口はボランチで新境地開拓か。

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