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悲願のトップリーグ初勝利を目指して。
三菱重工ダイナボアーズと土佐誠主将の挑戦。 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byHideki Sugiyama

posted2020/01/10 11:00

悲願のトップリーグ初勝利を目指して。三菱重工ダイナボアーズと土佐誠主将の挑戦。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

土佐主将の下、チームは12年ぶりのトップリーグに挑む。

主将として12シーズンぶりの昇格。

 翌シーズン、困難な時の主将の任が再び土佐に回ってきた。

「高校、大学、NEC、日本のA代表とキャプテンや副キャプテンをやってきた経験があって、年齢も年齢だった。異論なく引き受けました」

 土佐主将の下、チームは7季連続で豊田自動織機シャトルズとの入替戦へ駒を進めた。

「僕たちはこの日をずっと1年間待って、この日に懸けている。向こうはこの試合を迎えたくなかったはずだ」

 試合前、土佐はチームメイトにこう声をかけた。

「あれだけ負け続けた歴史があると『今年は本当にいけるのかな?』と考えている選手が多かったと思うし、自分もそうなると思っていた。いい選手がいて、取り組んできたストラクチャーも間違っていない。何かを変えるなら心理面。あと少し背中を押すだけでいいと思った」

 結果は31-7。文句なしの勝利だった。土佐は喜びを爆発させる仲間やチーム関係者の姿をホッとした気持ちで眺めていたという。12シーズンぶりの昇格という数字だけでは表しきれない大きな、大きな一歩だった。

トップリーグ初勝利という目標へ。

 前回トップリーグで戦った07-08年シーズン、ダイナボアーズは13戦全敗に終わっている。今季もまずはトップリーグ初勝利が目標になる。プレシーズンの戦いを見ていても、そのハードルは易しいものではない。

「どのチームもうちと当たるときはリラックスした状態で良さを出してくると思います。それを受け止めて、乗り越えて勝たないといけない。キャプテンとしては、選手とコーチングスタッフの間に立って、より意思疎通がスムーズになるようにしていきたいと思っています」

 入替戦で勝ったことのなかったチームは、今度はトップリーグで勝ったことがないチームとして運命と歴史に立ち向かう。その先頭には、いくつもの困難を乗り越えてきた主将の土佐がいる。

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三菱重工相模原ダイナボアーズ
土佐誠

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