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ジャッカルも十八番の最強フッカー。
マルコム・マークスの何がすごい?
posted2020/01/09 11:30
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Hiroki Takami
1月12日開幕のラグビートップリーグに世界的スターが参戦する。
フィジカルモンスターの王国からやってきた、189センチ112キロの“怪物中の怪物”。南アフリカ代表としてW杯日本大会の優勝を経験し、「世界最強フッカー」の評価をますます堅固にした25歳。
マルコム・ジャスティン・マークス。
ラグビー界でその名を知らぬ者はいない「マルコム・マークス」が、今シーズンよりNTTコミュニケーションズに加わり、日本最高峰リーグでしのぎを削る。
「これまでと違う経験をすることで、自分の幅を広げたいと思いました。南アフリカ代表のチームメイトや、日本人選手と戦うことを楽しみにしています」
元日本代表のラグビー解説者達も、今シーズンの注目選手として真っ先にマークスの名を挙げる。
「なんでもできる選手こそマークスです」「世界トップ。群を抜いて注目しています」。それぞれ順に元日本代表の大西将太郎氏、野澤武史氏の声だ。
背番号2を背負うフッカーとして、「最強」の呼び声高い南アフリカ代表のスクラムをコントロール。ラインアウトではスローイングも担当する。
セットピースだけではない。
マークスの凄味は、フッカーの仕事場であるスクラム、ラインアウトだけに留まらない。
「ジャッカルは自分の強みを増やすために、かなり練習した分野です。フィールドのどこであろうと、ターンオーバー(攻守交代)を勝ち取る確率を上げるため、ベストを尽くしています」
W杯で日本代表No.8姫野和樹の代名詞となったジャッカルは、マークスの十八番でもある。高校時代に元代表コーチのハイネケ・メイヤーにフッカー転向を勧められるまでは、“ジャッカル部隊”とも言えるFW第3列(6、7、8番)だった。
そしてゴール前の攻防戦では、天下無双の決定力を持つ。巨大な背中をねじ込み、問答無用で前進するのだ。
南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」では、'17年から2年連続でトライランキングのTOP10入り。リーグに約300人いるFWのうち、トライのTOP10入りは2年連続でマークスだけだった。
ジャッカルで窮地を救い、スクラムで相手の反則を誘い、みずからトライも決める――。まさに1人で何役もできる超人だ。