味わえた悔しさを糧にして。

　インターハイ予選敗退、U-17W杯メンバー落選、そして初の選手権での初戦敗退。彼にとって2019年度は悔しい思いばかりだった。しかし、1年前はテレビで観ていた選手権に出場し、これまで経験したことがない感覚を味わった。自分の無力さも知ることができた。

「この経験ができて良かったと言えるのは、これからだと思います。今の時点でもこの経験ができたことに感謝しています。この敗戦もこうして全国に出られたからこそ味わえたものですし、直輝に改めて10番を背負う意味を教えてもらえた」

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　もちろん素直に負けを認めたままで終わるつもりは、さらさらない。

「大勢の人が見ている舞台で、今は『樺山より須藤やな』と思われましたが、それはあくまでも『今』であって、次は『須藤より樺山やな』と思われるようにしたい。今は直輝の方がうまい。でもそれは今だけ。この1年間で受けた刺激を力にして、1年後、さらにその先を見据えながら成長した姿を見せることが周りへの恩返しの気持ちの現れだと思っています。それに来年はより期待されると思うので、『期待外れの世代』と思われないように頑張りたいです。

　僕自身は興國に来て正解だったと思っていますが、もっと頑張らないと周りにはそう感じてもらえませんから。これからです、ホンマに」

　悔しさの1年から飛躍の1年へ。「興國のメッシ」こと樺山諒乃介は、駒場の地で反骨心にさらなる火を灯し、成長のためのリスタートを力強く踏み出した。