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選手層の厚さで総合優勝狙う帝京大学。
エース不在の法政大学は“山”に活路。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byYuki Suenaga / Nanae Suzuki

posted2019/12/25 11:00

選手層の厚さで総合優勝狙う帝京大学。エース不在の法政大学は“山”に活路。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga / Nanae Suzuki

5区で「まったく違う走り」を。

 青木の出世は早かった。箱根駅伝では1年生で8区を担当し区間9位。遊行寺の坂を攻略し、上りへの適性を見せていたが、2年生からは5区に挑戦。すると、1時間11分44秒の好タイムをマークして区間賞を獲得、総合6位の立役者になったのだ。

 そして前回も同じ5区を担当し、1時間11分29秒と2年生の時のタイムを上回り、区間3位の好走。往路5位、総合6位に大きく貢献した。

 当然、今回の箱根駅伝でも5区を任されるのは必定。頼もしいことに、青木は「1時間10分台」突入を視野に入れている。

「今シーズンは、すごく順調に練習を積めていると思います。大学に入学してから、初めてケガなく夏の走り込みを乗り切れたんです。しっかりと走り込めたので、今回は自信があります。今までとはまったく違う走りが出来ると思います」

 区間賞獲得経験者が、「まったく違う走り」と言っているのだ。いったい、どんな山上りの攻略法が見られるのだろうか。練習がしっかりと積めているということは、前回、前々回よりも速いペースで入り、山中に入ってからもスピードを維持。そして下りになってからは一気にギアをチェンジし、区間新記録を狙っていくことだろう。

下級生のなかで注目したいのが鎌田。

 現実問題、法大は佐藤がいないことで4区までは苦戦を強いられる可能性もある。青木にたすきが渡る時点でシード圏外ということも十分に考えられる。本来は、青木がトップを狙える位置であれば申し分ないが、今回ばかりは青木の「ごぼう抜き」の方に期待が集まるかもしれない。

 青木の負担を減らすためには、他の選手たちの奮起に期待するしかない。

 下級生のなかで注目したいのが鎌田航生(2年)だ。全日本大学駅伝では2区を走って区間8位と健闘。他校のスピードランナーが揃っていただけに、この結果は自信をもたらしたに違いない。鎌田には、自ら責任を引き受ける覚悟がある。

「(佐藤)敏也さんの穴を埋めたいです。往路の重要区間を任せられる可能性があると思いますが、エース区間の2区だとしても、区間10位以内で走り、たすきをつなげられたらと思います」

 佐藤の不在を青木が、鎌田が埋めようと必死になっている。法大カラーの鮮やかなオレンジが躍動する箱根駅伝になって欲しい。

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