第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

選手層の厚さで総合優勝狙う帝京大学。
エース不在の法政大学は“山”に活路。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byYuki Suenaga / Nanae Suzuki

posted2019/12/25 11:00

選手層の厚さで総合優勝狙う帝京大学。エース不在の法政大学は“山”に活路。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga / Nanae Suzuki

法政大学

第95回箱根駅伝(前回大会):6位
5年連続、80回目

Key person of the TEAM:青木涼真(4年)

チームの期待を一身に背負う大黒柱。
得意の山上りで圧巻の走りを目指す。

文=生島淳

 このところ、箱根駅伝における法政大学の躍進ぶりが目ざましい。

 2015年度は総合19位と苦戦を強いられたが、2016年度に8位でシード権を獲得すると、2017年度に6位、前回もきっちり6位に食い込んできた。しかも前回は総合タイムが11時間03分57秒と、少し前ならば優勝していてもおかしくないタイムでのフィニッシュだった。坪田智夫駅伝監督は言う。

「ようやく安定してシード権を獲得できるようになってきました。土台をしっかり作らない限り、その上は狙えませんから」

 目標設定は、常に慎重。

「今回の箱根駅伝の目標は、総合4位です」

 4位どころか、もっと上を狙えるのではないか――と思っていたのだが、今回はハードルが高くなるかもしれない。エースのひとりである佐藤敏也(4年)がケガの影響もあり、16人のエントリーメンバーに入れなかったのだ。

大きな責任を背負う4年生の青木。

 佐藤は1年、2年と6区を走りともに区間3位。山下りのスペシャリストと思われていたが、上級生になってからはトラックでのスピードが磨かれ、前回大会では1区を走り区間5位と仕事を果たした。

 そして圧巻だったのは、今季の関東インカレ。男子1部の5000mで4位(日本人トップ)、そして10000mでは他校のエースに先着し3位(日本人トップ)に入ったのだ。

 初夏の時点では、佐藤が往路の主要区間で法大を上位に押し上げることが期待されていたのだが、最後の箱根駅伝に佐藤は出場できない。それでも坪田駅伝監督は佐藤の不在を嘆くことなく、他のメンバーの成長の機会と前向きに捉えている。

「佐藤が箱根駅伝には間に合わないかな、というのはあらかじめ想定されていました。メンバーたちも動揺することなく、そのつもりで準備してきたと思います。佐藤の不在を全員でカバーして欲しいと思っています」

 全員で流れを作っていくことになるわけだが、佐藤がいない分、大きな責任を背負うことになるのが青木涼真(4年)だ。

 青木は埼玉の春日部高校の出身。陸上競技よりも進学実績の方が有名な学校だ。しかし、坪田駅伝監督は入学時から大きな期待を寄せていた。

「高校時代に走り込んでいるわけではないので、慌てず、じっくり育てていけば、きっと主力選手になってくれると思います」

【次ページ】 5区で「まったく違う走り」を。

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