マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
パワハラに指導者がビビる時代に、
球児たちが発揮すべき「聞く力」。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/12/17 08:00
高校野球の指導者と選手の監督の関係は変わっていく。新しい形を見つけ出す必要があるのだ。
指導者が引いた分、選手が前へ。
こんなふうに考えてみたらどうだろう。
ここから先は、選手たち、球児たちによく考えてほしい。
この状況を「チャンス」に変えてみないか、ということだ。
指導者が教えることに遠慮がちになり、臆病になっているなら、選手たちのほうから教えを請いに行ってみたらどうだろう。今までは指導者の方から一方的に、ああだ、こうだ! とやられていた現場を、選手たちから疑問を発する声が飛び交う現場にしてみては。
たとえば、内野手がノックを受けている。ゴロをファンブルして、今までなら「なんじゃこらー!」と「はい!」の不毛のやりとりで終わっていた現場。それをファンブルした内野手が、「すいません! 最近、バウンドの合わせ方がわからなくなっていて、教えてください!」と自分から聞いてしまう。それが当たり前の現場にしてみたら。
求めて身につけたことは忘れない。
そもそも、二十歳近くなっても指導者から一方通行に指図され、指導され、わかってもわからなくても、ハイ! ハイ! なんて、情けない話ではないか。
7つ、8つから野球を始めていれば、高校生なんてもう経験10年の立派な“ベテラン”である。信じるところもあれば、思うところもあるはずだ。
自分はこう思いますが、監督さん、どう思いますか?
そんなアプローチができる現場のほうが、居心地がよいのではないか。
何より、人から教わったことはすぐ忘れるが、自分から求めて身につけたことは一生忘れない。そんな恩恵を受けられるのは大きいし、それ以上に、納得ずくだから健康的だろう。
一方的に教わる現場から、自分で教えを請いに行ける現場。