酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ラミレスもロペスも“歩かず選ばず”。
NPBで光るベネズエラ人の共通点。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2019/12/06 11:40
NPBで2000本安打を達成したアレックス・ラミレス監督と、DeNA主軸のホセ・ロペス。どちらも積極打法のベネズエラ人だ。
“早打ち”は国民性なのかも。
MLB時代から四球が少なかったラミレスは、レギュラーにはなれなかった。しかしNPBだと“早打ち”は「積極性があってよろしい」と見る指導者もいる。日米の野球観の違いもあって、ラミレスは日本で成功したのだ。
冒頭のプレミア12のシーンでも分かるように“早打ち”は、ベネズエランの国民性なのかもしれない。
ホセ・ロペスのNPBでのK/BBは、2.69(525三振195四球)、エルネスト・メヒアは3.03(665三振219四球)である。そして来季ヤクルトでプレーするアルシデス・エスコバーはMLBで3.36(776三振231四球)、巨人に来るジェラルド・パーラは2.85(890三振312四球)。
アレックス・ラミレスほどではないが、みんな「選ばない」、「歩かない」タイプの打者なのだ。
ガララーガなども「選ばない打者」。
MLBの大物選手に目を広げると、そうではない選手もいる。
ベネズエラ出身のMLB最多安打は、オマー・ビスケル。あの目の覚めるような遊撃守備は今も目に焼き付いているが、彼のK/BBは1.06(1087三振1028四球)、現役唯一の三冠王、ミゲル・カブレラは1.55(1761三振1135四球)だから、ボールを選ばないとは言えない。
ただし、ベネズエラの歴代強打者の中ではアンドレス・ガララーガ(通算2333安打)は3.44(2003三振583四球)、現役のアズドルバル・カブレラ(通算1646安打)は2.27(1210三振534四球)。やはり「選ばない打者」が多いと言えるだろう。
こういったタイプの打者は盛りを過ぎると「出塁率の低さ」が目立つようになり、MLBでの仕官がかなわなくなる。ただNPBの場合、他に見どころがあればそれほど気にせず獲得してくれる。
これがベネズエラの大物選手の日本移籍が増えている原因だろう。もちろん、アレックス・ラミレスという「成功者」のネットワークを頼ることも多いのだろうが。