酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ラミレスもロペスも“歩かず選ばず”。
NPBで光るベネズエラ人の共通点。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2019/12/06 11:40
NPBで2000本安打を達成したアレックス・ラミレス監督と、DeNA主軸のホセ・ロペス。どちらも積極打法のベネズエラ人だ。
「出稼ぎ」せざるを得ない理由。
もう1つ言えば、ベネズエラという国自体が「野球どころではなくなっている」ことも大きい。
反米政策を推進するマドゥロ政権と反政府勢力の対立で、内戦状態に陥り治安は極めて悪化。これまでMLB30球団は、ドミニカ共和国とベネズエラに「アカデミー」を設置して選手の育成に努めていたが、近年、ベネズエラからはほとんど撤退している。育成システムは崩壊し、国内での野球をする環境は極めて悪化している。
カリビアンシリーズの一環であるベネズエラ・ウィンターリーグは辛うじて続いているが、選手たちは世界各地での「出稼ぎ」を余儀なくされているのだ。
そういうこともあって、NPBでは来期以降もベネズエラの選手は増えるだろう。ベネズエラの選手は、身のこなしがしなやかでセンスを感じさせる選手が多い。
早いカウントからコンコーンと打つ、彼らの積極打法はこれからも楽しめそうだ。