酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ラミレスもロペスも“歩かず選ばず”。
NPBで光るベネズエラ人の共通点。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2019/12/06 11:40
NPBで2000本安打を達成したアレックス・ラミレス監督と、DeNA主軸のホセ・ロペス。どちらも積極打法のベネズエラ人だ。
2000本安打ラミレスの特異な数字。
実はラミレスは、野球史上でも際立って特徴的な傾向を持った打者だった。
<2000本安打者のK/BB(三振数÷四球数):ワースト10>
1.ラミレス 4.09
(1259三振308四球)
2.荒木雅博 2.42
(1043三振431四球)
3.新井貴浩 2.39
(1693三振709四球)
4.宮本慎也 2.28
(909三振398四球)
5.田中幸雄 2.24
(1416三振631四球)
変化球の発達によって投手の奪三振数は増えている。この数値の上位を近年の選手が締めるのは仕方ない面はあるが、ラミレスは2位を倍近く引き離しているのだ(K/BBが最も低いのは川上哲治の0.51、422三振823四球)。
ラミレスは、四球をほとんど選ばない打者だったのだ。2012年などは開幕から6月中旬まで一度も四球で歩かなかった。だからNPBでの通算打率は.301だが出塁率は.336でしかないのだ。
出塁率重視のMLBでは低評価?
セイバーメトリクスが浸透したMLBでは「安打も四球も同じ『出塁1』」という考えが大勢を占めている。また「安打は運の産物」というセイバーメトリクス研究家、ボロス・マクラッケン説の信奉者も多く、出塁率は打率よりもはるかに重要視されている。
今季ア・リーグMVPのマイク・トラウト(エンゼルス)の出塁率は.438でリーグ1位、ナMVPのコディ・ベリンジャー(ドジャース)は、.406で3位だった。
反対に言えば、ホームランをたくさん打っても選球眼が悪い打者は「フリースインガー」とみなされ、評価されないのだ。