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インテルで輝くアルゼンチンの新星、
マルティネスにメガクラブも大注目。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byUniphoto Press
posted2019/12/01 10:00
CLグループリーグ最終節でインテルは決勝トーナメント進出がかかっている。マルティネスはその大一番で結果を残せるか。
当初のトップ下では苦しんだ。
しかし、母国の情報を集めていたインテルのハビエル・サネッティ副会長は、まだ交渉の余地があると見るや契約を締結。推定2000万ユーロの移籍金を払い、さらには出身のアトレティコ・リニエルスにも報奨金が入るような契約を締結し、才能溢れるタレントを引き抜くことに成功した。
晴れて移籍合意に至ったのは2018年2月のこと。その約半年後にイタリアへと移ったマルティネスは、すぐにインテリスタたちの注目を集める存在となった。
8月、アトレティコ・マドリーと対戦したプレシーズンマッチでは、左からのアーリークロスをジャンピングボレーで合わせてゴールへ叩き込む離れ技を見せた。華麗なプレーのみならず、守備でも懸命にボールを追い、守備的MFのように身体をぶつけてボールを奪う。「戦術的なイタリアサッカーへの順応も早いのでは」と期待された。
ただし、1年目はそううまくいかなかった。ルチアーノ・スパレッティ監督の志向するサッカーでは、自らの能力を活かせるポジションが限定されたからだ。
当初は4-2-3-1のトップ下をあてがわれたが、ゴールから遠い中盤でつなぎ役を求められたことで、本領を発揮できなかった。
当時、両ウイングの仕事は主に縦への上下動。センターフォワードはマウロ・イカルディが絶対的な柱だった。4-2-3-1のシステムを組むことを前提に選手が編成されているため、2トップへの変更もなし。結局マルティネスは途中出場中心となり、イカルディがクラブと揉めて戦力外となるまで定位置を得ることができなかった。
コンテ就任で事情が変わった。
しかし今シーズン、アントニオ・コンテが新監督として就任したことで事情が変わった。彼の志向は2トップ。マルティネスには願ってもないことだった。しかも、就任後には「4度、5度くらい電話でサッカーの話をしてくれた」と言うように、マルティネスに重要な戦力だと認識させることも怠らなかった。
ルカクやサンチェスの移籍決定ならびに合流が遅かったこともあってか、開幕スタメンの座はガッチリとキープする。前線で動き回り、身を粉にして守備をし、スピードで裏を狙うプレースタイルは、組織的なプレスからのカウンターを重視するコンテのサッカーにハマった。