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ボルシアMGの凄そうで不思議な異名、
「攻撃サッカーの殿堂」復活のワケ。 

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2019/11/23 08:00

ボルシアMGの凄そうで不思議な異名、「攻撃サッカーの殿堂」復活のワケ。<Number Web> photograph by Getty Images

かつて大津祐樹も所属したこともあるボルシアMG。今季ブンデスを席巻する存在だ。

南野&奥川を指導したローゼ監督。

 続いて両チームのフィールドプレーヤーも登場してきました。しばし我らが大迫の姿を注視した後、ホームチームの様子をうかがうと、ひと際目立つのはドイツ代表でもあるDFマティアス・ギンターでしょうか。

 今季のメングラはギンター以外に高い実績を誇る選手は見当たらないのですが、最近はスイス代表MFデニス・ザカリアに注目が集まりつつあります。アーセナル、リバプールなどが獲得を目論んでいる23歳にあまり着目してこなかったので、今日は彼のプレーを観察してみようと決めました。

 そして、今季のメングラを率いるのはドイツ人指揮官のマルコ・ローゼです。

 1976年9月11日生まれの彼は、ドイツのS級ライセンスであるフースバルレーラーを2014年から2015年にかけて修了した人物で、同期には現ブレーメン指揮官(今試合の相手!)のフロリアン・コーフェルトや、かつてイラン代表FWとして日本代表の前に立ちはだかった“ヘリコプター”ことバヒド・ハシェミアンなどがいます。ちなみに、翌年のフースバルレーラー講座修了者の代表格は現ライプツィヒ指揮官のユリアン・ナーゲルスマンです。

 ローゼは昨季まで、南野拓実や奥川雅也が所属するレッドブル・ザルツブルクの監督を務めていましたが、メングラは早くから彼の手腕に着目して昨シーズン終了前に彼の監督就任を発表しました。

戦術に感じられるラングニック哲学。

 ローゼの戦術、チームスタイルはいわゆる「レッドブル・スタイル」と称されるもの。その根幹は昨季までRBライプツィヒの監督で、ザルツブルクのスポーツディレクターも兼任したラルフ・ラングニックの哲学にあります。

 ラングニックはドイツサッカー界で「プロフェッサー」とあだ名がつくほどの戦術家。彼が提唱したボールサイドを中心点に定めたゾーンプレッシングは、その後にユルゲン・クロップ(現リバプール監督)が「ゲーゲンプレス」という形で具現化しました。

 また、同じくラングニックが公言したボール奪取から8秒以内にフィニッシュへ至る「8秒ルール」は、ダイレクトサッカーの代名詞として近年ヨーロッパサッカーシーンでスタンダードになりつつあります。

 ローゼはこの遺伝子を兼ね備える指導者と評価されていて、“師匠”のラングニックが昨季限りですべての職務を離れて表舞台から一旦退いた今、俄然脚光を浴びる存在となっているのです。

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