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ボルシアMGの凄そうで不思議な異名、
「攻撃サッカーの殿堂」復活のワケ。 

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2019/11/23 08:00

ボルシアMGの凄そうで不思議な異名、「攻撃サッカーの殿堂」復活のワケ。<Number Web> photograph by Getty Images

かつて大津祐樹も所属したこともあるボルシアMG。今季ブンデスを席巻する存在だ。

遠目に見るVIPメンバーのロビー。

 僕が取材に赴いたのは11月中旬のブンデスリーガ。対戦相手は我らが日本代表エースFWの大迫勇也が在籍するベルダー・ブレーメンです。

 試合3時間前の10時30分にボルシア・パルクの正面に着いたら、設営されたばかりのソーセージ屋台にサポーターたちが群がっていました。少々寒かったものの抜けるような青空が広がる快晴で、空気が澄んでいます。屋台から上る湯気が空と同化して雲のような模様を形作っています。

 側道脇の路肩に座り込んだカップルが楽しそうに談笑していて、ピクニックに来たみたい。浮かれ気分でメディアルームへ向かうと、ドアにカギ! どうやら早く着き過ぎたようなので近接するスタジアムホテルのロビーで休憩しようとすると、そこはVIPメンバーの入場口が兼ねられていました。

 ロビー付近には多くの方々が詰めかけて甘美な社交場のような雰囲気。ビュッフェ形式の食事とお酒を愉しむ姿は、宵闇の紳士淑女のようですが、時計を見るとまだ10時45分。ああ、僕もその輪に加わりたい。

 おもむろに自分の試合IDカードを見て、立ち入り可能範囲を確認するも、VIPエリアの番号には明確にバツ印が記されています。落胆した僕は遠巻きに眺めていましたが、彼ら、彼女らの立ち居振る舞いには余裕が感じられました。

ゾマーのセーブ、フィードは必見。

 会話に耳を傾けると、話題はやはりメングラの躍進について。ブンデスリーガ第10節を終えて7勝1分2敗の勝ち点22は堂々の首位。RBライプツィヒ、バイエルン、ドルトムントなどを後方に従えて進撃する頼もしき姿に、“メングラ・サポーター”はご満悦の様子です。

 その後、無事にメディアルームへ通され、温かいコーヒーを飲んでからメインスタンド最上段の記者席へ向かうと、メングラのGKヤン・ゾマーと控えGKマックス・グリュンがウォーミングアップのために颯爽とピッチへ現れました。

 スイス代表ゾマーは僕のお気に入りです。まず、誕生日が同じ。183cm、79kgの体躯はブンデスリーガーの中では小柄な方ですが、そのハンディを俊敏さとスキルで相殺します。至近距離からのセービング反応は凄まじく速く、右足から放たれるフィードは正確無比。そんな彼が、今のメングラの攻撃の起点となっています。

【次ページ】 南野&奥川を指導したローゼ監督。

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