話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
山口蛍が永井謙佑と共に変えた流れ。
代表に必要な能力と、本人の違和感。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2019/11/22 18:00
代表での自分の立ち位置、という難問は山口蛍にとって未だ解決されていない。それでも貴重な選手であるはずなのだが……。
「今は自分がというよりも……」
それでも今回、山口は3月のコロンビア戦以来、久しぶりの代表復帰を果たした。スタメンこそなかったが、キルギス戦、べネズエラ戦ともに途中出場を果たし、ボランチの交代選手の一番手としての信頼が見て取れる。
だが、山口の感覚は少し違っていたようだ。
「今回で言えば海外組が少ないし、U-22代表の試合もあった。いつもと状況が違う中で、初めてのメンバーが多いのもあって自分が呼ばれたんだと思う。今は自分がというよりも陽介(井手口)や僚太(大島)とかがいるんで、若い選手が試合に出るのがいいかなって思いますけど……」
この試合のスタメンには橋本拳人が入り、さらに井手口、大島がベンチにいた。キルギス戦では遠藤航がスタメンで出場し、U-22代表世代には板倉滉らがいる。
若く才能がある選手が多いのは確かだが、べネズエラ戦のプレーを見る限り、山口の存在感はちょっと質が違うなと感じた。
「いや、まぁ今回はそういう……」
山口にとって、チームを修正して、流れを変え、代表でプレーする面白さを改めて味わったはずだ。彼の中での日本代表の位置づけは変わったのだろうか。
「いや、まぁ今回はそういう風になっていないです。スタートから出ているわけでもないんで……。ただ、途中から出る選手の役割は果たせたかなと思います」
試合後は淡々と話をしていたが、ヴィッセル神戸のチームメイトである古橋亨梧の初出場に話が及ぶと、「初出場でもそんなに気負うことなく、堂々としていたんじゃないかなと思う」と表情を和らげた。
それでも今の日本代表において、山口の重要性は変わらない。べネズエラ戦は、山口の気持ちとは裏腹にはからずもそのことを証明したゲームになった。