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柳田将洋が語る新シーズンへの覚悟。
ケガとの戦い、W杯で得た「泥臭さ」。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byWataru Sato
posted2019/11/18 19:00
W杯の激闘を終えた後、インタビューに答えた柳田将洋。新たなシーズンへ、すでに挑戦は始まっている。
欧州は1週間に1試合が基本。
シーズンが始まれば土日に連戦が続く日本のリーグに対し、ドイツを始めとするヨーロッパは基本的に土曜か日曜、試合は1週間に1試合が基本だ。国内のカップ戦や、チャンピオンズリーグがあれば変則的に水曜と土曜、もしくは日曜と週に二度試合が行われることもあるが、連日続けて試合、ということはない。
医科学のサポートに目を向ければ、もちろん日本のほうが数段勝っているのは間違いない。だが、そこで得た知識を自分で活用し、ケガに対して細心の注意を払いながら行動できれば、全体練習の時間が少ない海外では自由な時間もあり、そこでいくらでも実践することが可能だ。柳田はそう言う。
「たとえばワールドカップのように、あれだけの連戦が終わって、コンディション面において状態がいいわけはないですよね。大会中は練習時間もトレーニングの時間も限られているので、力を出すばかりで身体をつくる時間はない。むしろ、ベストの状態から見れば半分以下です。
ワールドカップが終わって、すぐ海外シーズンが始まると『大変だね』と言われますが、試合と試合の間隔が空く分、むしろ身体づくりの面ではじっくりテーマを持って取り組める。海外にいたほうがペースをつくりやすいのも事実です」
この2年でペース配分をつかめた。
「僕の場合はまず、チームに合流してすぐのウェイトトレーニングでは重量の大きいものを持ち、身体に思い切り負荷をかける。当然、筋疲労はハンパないです。そこで一気にガタンと状態が落ちるけれど、その後は上がるだけなのでリカバリーを入れて、次は70%の重量にすると筋肉のコンディションや、ベースが少しずつ上がる。同様に次の週も、またその次の週もトレーニングで負荷をかけつつ、試合で動いて疲労して、リカバリーを挟んで、また重いものを持って、と定期的に負荷をかけ続ければそれに耐えうる身体ができる。
そのベースにウェイトトレーニングだけでなく、ダッシュや敏捷性のトレーニングを加えてまた違う刺激を加え続ければ、シーズン終盤になってもコンディションが下がるのではなく上がる。そのペース配分は、この2シーズンでかなりつかめた実感があります。
今日持った重りは次の試合で成果が発揮されるわけじゃなく、それより先の、来月の試合で『あの時、あの重さを持っておいてよかった』という日が来る。僕らがやっていることって、いつもその繰り返しだと思うんですよ」