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柳田将洋が語る新シーズンへの覚悟。
ケガとの戦い、W杯で得た「泥臭さ」。
posted2019/11/18 19:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Wataru Sato
バレーボール日本代表の柳田将洋が選んだ新天地は、ドイツ・フランクフルト。生活の不安が一切ない、と笑いながら「ビッグシティ」に胸躍らせる。
「ポーランドはマンションとスーパーしかなくて、空もグレー。きつかったなぁ(笑)。でもポーランドリーグでプレーすることは1つの目標だったので、できればもう少しやり続けたい気持ちもあったけれど、現実的には難しかった。フランクフルトはドイツリーグだけでなく、CEVカップにも出場するチームなので、そこでプレーできるのは、確実に自分もステップアップできている、ということだと思っています」
昨シーズンは憧れだったポーランドへ渡り、ルビンでプレーするも左足首のケガでシーズン半ばに帰国。リハビリの後、日本代表では今季も主将を務めたが、個人として完全燃焼できたか、と言えば答えはきっと、イエス、ではなく、ノー。
だからといって、視線の向く先は下でも、後ろでもない。
選手生活の中で「あれだけ大きなケガをしたのは初めて」という左足首が治ったら、次は腹筋。試練に見舞われた代表シーズンを終えた今だからこそ明かす、当時の記録と記憶。
前だけを見据え、柳田は静かに振り返った。
捻挫だと思っていた痛みは……。
「最初は捻挫だと思っていたんです。試合形式の練習をする中で、ブロックに跳んだ時、隣の選手の足を踏んで思い切り捻った。腫れがそれまでの捻挫と違って異常に見えたから『MRIとレントゲンを撮りたい』とチームのトレーナーに言ったら『これは捻挫の腫れだから大丈夫だ』と。
その前週に日本からファンクラブの方がツアーで来て下さって、その試合はめちゃくちゃ調子がよかったんです。周りの選手とも連携が高まってきていたし、コンディションも上がって来た。だから余計に『何で今なんだ』と思ったし、歩くのも歩ける。内心では『大丈夫』と思いたいけれど、腫れもひかないし、痛みもある。日本代表の村島陽介トレーナーとも連携を取りながら、もう1度お願いしてMRIを撮影したら、骨を痛めていました」