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柳田将洋が語る新シーズンへの覚悟。
ケガとの戦い、W杯で得た「泥臭さ」。 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byWataru Sato

posted2019/11/18 19:00

柳田将洋が語る新シーズンへの覚悟。ケガとの戦い、W杯で得た「泥臭さ」。<Number Web> photograph by Wataru Sato

W杯の激闘を終えた後、インタビューに答えた柳田将洋。新たなシーズンへ、すでに挑戦は始まっている。

代表合宿を目標にリハビリを開始。

「日本でドクターにも診てもらった結果、靭帯も痛めていて最低でも完治に2カ月かかる。そう言われたら、どうあがいても1カ月にはならないですから、そのままポーランドに残る選択はベターじゃない。未練を断ち切りすぐに帰国して、村島さんとマンツーマンでリハビリに取り組んできました。

 その時立てた復帰のゴール設定は、日本代表合宿開始時にスパイクが打てる状態まで持って行くこと。最初は上半身の強化から始めて、負荷をかけずにプールでのリハビリ、ステップ、ダッシュと徐々にボリュームを上げる中、面白いぐらい身体が変わりました。

 ジャンプができるようになってからは毎週、最高到達点の計測。最初は3m2、その時は『まだまだだな』と思って落ち込んだけれど、次の1週間ではトレーニングの重量も増して、動ける範囲も増え、到達点を測ると3m12。次の週は3m21、その次は3m31。ケガからのリハビリなのに、『どこまで上がるんだろう』と思うとワクワクしたし、身体をうまく動かせている実感があるから、もっと行ける、もっとできる、と上向きになってしまった。ここまで状態が上がれば再発の心配はない、というところまで村島さんに高めてもらったところで、僕は『もっと上げられる』と欲が出てしまったんです」

「もっとできる」と突っ走った。

 思い返せば、それがよくなかった。親善試合直前の7月に、今度は腹筋の肉ばなれ。

「もっとできる、とかけた負荷がケガをした脚ではなく腹筋に来た。僕だけでなく、同じような症例で脚のケガをした後、復帰した直後に腹筋を痛めることもあるそうなのですが、その時は知る由もなかったし、『こんなに好調だから大丈夫』と突っ走っていた。予言者がいたら教えてほしいくらいでした。

 カナダとの親善試合の最中にスパイクを打った後、ブチッと明らかな違和感があり、あーやっちゃった、と。それまでのカーブが想像以上によく、調子も上がっていただけに、2度目のケガは本当に残念でした。でも、その結果は変えられないし、今となってはそれもいいステップだったと思っています。むしろ僕はその過程で見えたものがいくつかあったし、この情報が誰かにとって意味のあるものになれば、それでいい。だから、僕はここからプラスにするしかないと思っています」

【次ページ】 欧州は1週間に1試合が基本。

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