オリンピック名著探訪 「五輪の書」を読むBACK NUMBER
『オリンピア』
知っているようで知らない、
古代五輪1200年史に触れてみる。
text by
後藤正治Masaharu Goto
photograph bySports Graphic Number
posted2019/11/13 07:00
『オリンピア』村川堅太郎著 中公新書 1963年刊 絶版
なんとなくわかったつもりでいることが、実はよくわかっていなかった――ということはあるものだ。『オリンピア』の読後感である。刊行は1963(昭和38)年、東京五輪の前年である。著者はギリシア史学の泰斗。
古代オリンピックは、アテネ、スパルタ、エリスなどギリシア圏のポリス(小国家)が、主神ゼウスへの祝祭としてオリンピアの地で技を競い合った。常々ポリス間は「慢性的戦争状態」にあったが、4年に一度のオリンピック開催中は休戦となる。というあたりまではぼんやり知ることであったが、詳細は知らぬままできた。
「要するに古代オリンピックは、ギリシア市民による、市民たちのための競技であった」とある。ここでいう市民は近現代でいう市民ではなく、「ある程度の土地と奴隷と家畜」をもった、いわば有産階級である。参加する競技者は「全裸」であったというからびっくりする。