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渋い血統でも牡馬顔負けの強靭さ。
クロノジェネシスが秋華賞制覇!
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2019/10/15 11:40
オークスからぶっつけ、20kg増ながらも、2着に2馬身差をつけて快勝したクロノジェネシス。
父バゴの種付料は50万円。
父のバゴは、現役時代フランスで調教され、2004年の凱旋門賞などGIを5勝している。'06年から日本で種牡馬となり、これまでは、'10年の菊花賞馬ビッグウィークが、産駒で唯一のJRA・GI勝ち馬だった。公益社団法人日本軽種馬協会によって繋養されており、種付料は50万円。同協会のほかの繋養種牡馬には、ヨハネスブルグ、ケープブランコ、サニングデールなどがいる。
ノーザンファームの生産馬に種付料50万円の種牡馬の産駒がいるのは珍しいように思われるが、同牧場で生産されたほかのバゴ産駒に、'17年のアンドロメダステークスなどを勝ったブラックバゴがいる。
クロノジェネシスの半姉に、今年のヴィクトリアマイルを勝ったノームコアがいる。ノームコアの父はハービンジャーであるから、母クロノロジストは、ヨーロッパの重厚な血と相性がいいのかもしれない。
クロノジェネシスの3代母ラスティックベルはビーチサンバの2代母でもある。ビーチサンバの全兄フサイチリシャールは'05年の朝日杯フューチュリティステークスの勝ち馬である。
ヨーロッパの大舞台で輝く血統?
なるほど、確かに渋い。
一昨年、泥んこ馬場の秋華賞を勝ったディアドラは、ヨーロッパに長期滞在しながら調整され、GIのナッソーステークスを制した。父はハービンジャー、2代母ソニンクからつらなる牝系からはダービー馬ロジユニヴァースが出ているが、ほかにダートで活躍したランフォルセやノーザンリバーがいるなど、こちらもなかなかしぶい。
ヨーロッパの大舞台で輝くのは、対照的な馬場の日本ではしぶく映る、こうした血を背景に走る馬たちなのではないか。そんなことも考えさせられた秋華賞であった。