“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
2009年ドラフトの今を検証<広島編>。
今村猛の成功、あとは堂林の覚醒を。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/10/10 18:00
2010年春季キャンプに臨む初々しい今村猛。のちの広島3連覇に大きく貢献した。
30歳以降に覚醒した和田のように。
2位堂林は夏の甲子園大会の優勝投手として知られるが、早くから評価されていたのがパンチ力のあるバッティング。キャッチャー寄りのミートポイントに特徴があり、ここからおっつけて右中間方向に押し込むバッティングは「超高校級」と高く評価されていた。
3年目の'12年には144試合に出場し、打席数554はチーム内では梵英心の575に次いで2番目に多かった。打率.242は物足りないが、安打118、本塁打14は、当時21歳という年齢を考えれば将来の主軸を託すに十分な成績と言っていい。
だが、ここから急ブレーキがかかり、現在までの通算安打は327。来季29歳なので余力は十分にある。通算2050安打を放った和田一浩(元西武、中日)の30歳以降の安打数は1901。つまり、20歳代のヒット数はわずかに149本である。それにくらべれば堂林は倍以上打っている。バッティングスタイルも似ているので、是非参考にしてもらいたい。
高卒選手が貢献した3連覇。
翌'10年以降、広島のドラフトは大学生・社会人に目を向けた即戦力狙いに舵を切る。'13年には16年ぶりのAクラス復帰を果たし、'16~'18年のリーグ3連覇も記憶に新しい。
現状を見れば即戦力ドラフトが功を奏したとも言えるが、今村、前田、曾澤、丸、鈴木誠也など高校卒の果たした役割も小さくない。もう少しバランス型の指名にならないのかな、というのが正直な感想でもある。