ラグビーPRESSBACK NUMBER
今、大きく感じる堀江翔太の言葉。
「準々決勝も勝って準決勝まで行く」
text by
金子達仁Tatsuhito Kaneko
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/10/08 11:50
ラインアウトでスロワーを務める堀江は、ロシア戦でも安定したスローを見せた。この試合では、チーム最多の18タックルを決めた。
日本に世界でもっとも闘志をかきたてる国。
ワールドカップ前、熊谷で南アフリカと戦い7-41で敗れた時の日本からは、何人かの主力が欠けていた。
ただ、どうやったら、何をされたら倒れるのかというイメージを、この日の南アフリカはまったく与えてくれなかった。そのヒントすら、見せてくれなかった。なにしろ、イタリア相手に1本のトライも許さなかったのである。
アイルランドを倒したことで、日本は変わった。チームが、ではない。社会が変わった。ジャパンは国民的な後押しを受ける存在となった。後押しの熱量は、史上最高のレベルにある。対戦相手にとって、日本はより一層恐るべき存在となった。
だが、南アフリカもまた、より恐るべき存在となりつつある。
彼らは無慈悲で、かつ、復讐にも燃えている。日本と戦うに当たって、世界でもっとも闘志をかきたてる国はどこか。おそらくは南アフリカである。
大会前に聞いた堀江翔太の言葉。
まだ決勝トーナメント進出が決まってもいない段階で、準々決勝以降のことを考えるのは早計にすぎるかもしれない。だが、日本列島のあちこちから激アツのマグマを噴出するようになったいまの日本で、ジャパンがスコットランドに後れをとる未来を、わたしはどうしても思い描けずにいる。
この原稿を書いているのは、日本対サモア戦を控えたメディア・ワークルーム。
1週間前、スタジアムの中だけのワールドカップだった豊田市は、駅前すべてがワールドカップ一色に染め上げられていた。道行く人の桜のジャージの着用率の高さ──異常なほどの高さは、笑ってしまうほどだった。
まずはサモア。次にスコットランド。そして、もしかしたら南アフリカ。
大会前に聞いた堀江翔太の言葉が、いま、わたしの中で急速に大きくなってきている。
「楽観してるわけではないですけど、グループリーグ突破は行けると思います。それも1位で。準々決勝も勝って準決勝まで行く。いま思い描いているのは、そんなところかな」