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世界的トライゲッター松島幸太朗。
「自信」という言葉をよく使う訳。
posted2019/10/09 11:40
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Naoya Sanuki
松島幸太朗と話していると、「自信」という言葉を耳にすることが多い。
「W杯に必要なものは自信。自分を信じること。信じ抜くこと。そこに辿り着いた状態で大会を迎えられるかどうか」
日本が世界に誇るトライゲッターは、W杯前にこんなふうに話していた。
W杯ではここまで4トライ。これは全体のトップだ。攻撃部門でも軒並みトップクラスの数字を残し、世界のトッププレイヤーに肩を並べている。
これまでの人生26年間、常に「挑戦」すなわち「トライ」を続けてきたラガーマン。
自分を磨くための場所はどこかを冷静に、また勇気を持って選べる人間だと感じる。
「自分に自信がつく場所はどこかな……って。だから桐蔭学園を卒業した後、南アフリカに渡ったし、1人で自分を磨く場所にあえて飛び込みました」
「自信」を付けるための最高の時間。
ラグビー名門高校から大学に進み、社会人となってトップチームで活躍する……これこそが日本ラグビー界において王道であり、スターとなるための最短距離だろうから、10代で何の保証もない南アフリカ挑戦には驚かされた。
しかし、松島にはこの南アフリカでの時間がまさに「自信」を付けるための最高の時間だった。
「食事や全体的な環境にしても、もちろん日本とは全く違う。色んな意味で厳しい。でも、自分と向き合える時間が本当に多くできた。1人だし、まわりに影響されることなく自分が強くなるため、上手くなるため、速く走るために何が必要か、考え抜く時間がありました」
そして、ラグビーの強豪・南アフリカでU-20代表候補にまで選ばれた中、彼はあえて日本でプレーすることを選んだ。