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「ないもの」だらけの名門マンU。
それでも監督交代は得策ではない。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byUniphoto Press

posted2019/10/05 11:40

「ないもの」だらけの名門マンU。それでも監督交代は得策ではない。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

スールシャール監督の首元がいきなり涼しくなっている。マクトミネイはその苦境を救うことはできるか。

スールシャール監督交代の噂も。

 こうした状況のなかメディアでは、毎週のように来年1月に獲得すべき補強ターゲットの名前が挙げられている。

 足りない要素として得点力に焦点が当たれば、ノリッチで開幕3試合連続で計5ゴールを決めたテーム・プッキ、トップ4争い参戦さえ匂わせるレスターでチャンス供給のキーマンに化けたジェイムズ・マディソン、守備力ならイングランド代表でも正ボランチと目されるウェストハムのデクラン・ライス、といった具合だ。

 当然、監督交代の噂も絶えない。

 今年3月に暫定監督から昇格したオーレ・グンナー・スールシャールは、正監督となって通算21試合目となるアーセナル戦を終えて、5勝6分10敗と負け越している。後任には、就任6年目のトッテナムで補強に不満を抱えたままのマウリシオ・ポチェッティーノ、セルティックで立て直し、昨季後半から指揮するレスターでビッグクラブへの再挑戦を目論むブレンダン・ロジャーズなど、現役のプレミア監督を引き抜く可能性も指摘されている。

 しかし個人的には、6年間で6人目(暫定監督含む)の新監督誕生が得策とは思えない。監督としての実績ではなく、ユナイテッドの何たるかを知る人物である元ストライカーが打ち出した、攻守にアグレッシブでダイナミックなチームという明確な方向性は、現時点で数少ない「あるもの」だからだ。

マクトミネイという一筋の光明。

 そんなスールシャールが主軸に抜擢したからこそ、お先真っ暗のようなチームにもマクトミネイという一筋の光明がある。両軍とも寂しい内容のアーセナル戦でMVPを選ぶとすれば、ユナイテッドの中盤センターでレギュラーを掴んだ22歳になる。

 マクトミネイは、ボランチ起用も正解と言えるだろう。アーセナル戦ではカウンターにおける第2波としてゴールを決めたように攻撃参加も持ち味だが、最大の長所はセンスの良い守備にある。

 強い責任感と鋭い危険察知能力を持ち、いざとなればタックルの強度も充分。運動量と機動力も兼ね備え、執拗で堅実な守りは前監督のジョゼ・モウリーニョにも買われていたほどである。

 ユナイテッドの歴史的な視点で眺めれば、サー・アレックス・ファーガソン時代後半の「デストロイヤー」で、マクトミネイ自身も同じスコットランド人の先輩として手本にしていたと言う、ダレン・フレッチャーのようなタイプだ。

【次ページ】 キャリックのようなパサーが欲しい。

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