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「ないもの」だらけの名門マンU。
それでも監督交代は得策ではない。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byUniphoto Press

posted2019/10/05 11:40

「ないもの」だらけの名門マンU。それでも監督交代は得策ではない。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

スールシャール監督の首元がいきなり涼しくなっている。マクトミネイはその苦境を救うことはできるか。

「背骨がない」現状のマンU。

 ロメル・ルカクとアレクシス・サンチェスが抜けた最前線は頭数が不足しているものの、背番号もポジションも「9番」を与えられたアントニー・マルシャルが好調だ。第3節で負傷する前の2試合連続ゴールに見られた動きとフィニッシュで、競争相手のマーカス・ラッシュフォードよりも適性を示したとみられる。

 最終ライン中央には、足元の技術とライン統率力を備えた新CB、ハリー・マグワイアが加入済み。最後尾は、ファーガソン後のユナイテッドでも孤軍奮闘を続けたダビド・デヘアが、守護神として新4年契約に合意したばかりである。

 チームを縦に貫く「背骨がない」と嘆いたのは、元ユナイテッド戦士の解説者ガリー・ネビルだが、新センターハーフの獲得が実現すれば、マクトミネイを要とする新たな背骨が見えてくるような気がする。

 問題となるのは、ロングスタッフの移籍金か。

 若き国産選手というプレミアム付きの推定7000万ポンド(約95億円)は、20歳そこそこのプレミア2年生としては非常に“いい値段”だ。それでも、リスクをとる価値はあると見る。

チェルシー戦で見せた躍動ぶりを。

 スールシャールは、ホームでの今季開幕戦を4点差勝利で飾り、ユナイテッド正監督として現時点でハイライトにもなっているチェルシー戦後、1トップを務めたマルシャル、中盤の底を任されたマクトミネイ、21歳の新ウィンガー、ダニエル・ジェイムズが揃って活躍した采配を、「リスクテイクと見返りのサッカー」と表現していた。

 もっとも、ビジネス感覚はあるがチーム作りの現実的感覚に欠ける最高責任者、エド・ウッドワードをはじめとするユナイテッド経営陣が、その指揮官の首を挿げ替えるという選択肢を取る危険性はある。

 相手が交渉に応じればだが、ロングスタッフの移籍金の半分程度の額でトッテナムからポチェッティーノを買い取ることができるのだ。

 相次ぐ監督交代といい、失敗例の多い補強といい、ユナイテッドに「ないもの」だらけの現状を招いた一番の責任者とも言えるフロントに、スールシャールに時間を与える覚悟があることを望む。

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