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ラグビーW杯審判団に選出の日本人、
久保修平さんに聞くレフリーの仕事。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/09/27 08:00
ラグビーW杯中継を見て審判と選手がこんなにもコミュニケーションを取っているのかと驚いた人も多いだろう。それもまたレフリーの仕事だ。
各チームの思惑を知っておけば。
私を含めたARはプール戦までが担当になりますが、試合の重みは準々決勝以降と変わりません。ベスト8へ進む2位以内を巡る争いはもちろん、3位は次回W杯の出場権が得られます。
たとえば、ここでもう1点詰めたら得失点差で3位になるといった状況では、プレーの選択が変わるかもしれない。それぞれのチームの思惑を知っておけば、私のポジショニングや注意するポイントも変わってくる。本当にちょっとしたところまで突き詰めて、試合に臨まなければいけないでしょうね。
審判団は7月に日本でのキャンプに臨み、それ以降は各国のウォームアップゲームに関わりながら準備を進めていきます。集合は開幕の10日前になる予定です。
開幕後は試合を担当するだけでなく、レビュー(振り返り)をしていきます。開幕からプール最終戦までの24日間で、試合がないのは4日だけです。東京以外でのナイトゲームも多く、審判団が揃ってのレビューがどこまでできるか。かなりタイトになりそうです。
体調管理を徹底、週4日トレーニング。
その間にも、コンディション維持は欠かせません。現代ラグビーはフィジカルのレベルが上がっていて、審判も体調管理が重要です。普段からパーソナルトレーナーをつけて、週4日はトレーニングをしています。フィールドでランニング、ジムで筋トレなどです。
日本人の審判団入りは私で4人目になりますが、レフリーとARの両方を務めた方はまだいません。4年後はレフリーを任されるように、今回の経験を大切にしたいですね。
久保修平Syuhei Kubo
1981年6月9日、福岡県生まれ。大学2年で審判を始め、'14年にプロレフリーに。'16年のスーパーラグビーでは、日本人として初めて主審を務めた。W杯では副審に選出された。