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巨人を優勝に導いた主将・坂本勇人。
圧倒的成績を生んだ「イチロー流」。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2019/09/22 11:50

巨人を優勝に導いた主将・坂本勇人。圧倒的成績を生んだ「イチロー流」。<Number Web> photograph by KYODO

5年ぶり37度目のセ・リーグ優勝を決め、大喜びでマウンドへ駆け寄る坂本勇人(中央)ら巨人ナイン。

試合前と5回の終了後にマシンを使う。

 坂本は試合前と5回の終了後にマシンを使って体をリセット。交流戦の時期には持病の腰痛からまともにスイングできずに不振に陥っていたこともあったが、このマシン導入後はコンディションが安定し、それが苦手の夏場を通して高いパフォーマンスを維持してきた一因となっている。9月18日の中日戦こそ足の張りで先発は外れたが、それでも“イチ流”のマシンによって、年間を通して高いレベルで体調を維持できたことが、今季の好成績の大きな要因だったのだ。

「もともと能力は非常に高い選手ですが、今シーズンはコンディションを作れるようになりましたね。よく準備運動とかケアもしている」

 プロ1年目から坂本を知る原監督も、そうした坂本の成長を認める一人だった。

「坂本は変わった」と言われる。

 その変化の1つのきっかけになったのは2014年のオフ、リーグ3連覇を果たして乗り込んだハワイ優勝旅行でキャプテンに指名されたことだった。

「坂本勇人個人の発言ではなくなる」

 主将就任直後に当時、指揮をとっていた原監督は坂本にこんなアドバイスを送っている。

「これから勇人が語る言葉は、坂本勇人個人の発言ではなくなる。すべて巨人のキャプテンの発言として聞かれることになるから、その自覚を持ってしっかりとメディアや周囲への対応をしなさい」

 明確にいつから、ということはないのかもしれない。ただ、明らかにこのことをきっかけに坂本のメディアやファンに対する対応には変化が見えてきた。

 会見や囲み取材での受け答えをしっかり相手の目を見て行うようになった。試合前のシートノックの時には、エキサイトシートの子供とキャッチボールを行ったり、子供たちへのファンサービスには特に熱心に気を配るようになったのも、この頃からだった。

【次ページ】 大黒柱の自覚を身につけていった。

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坂本勇人
原辰徳
読売ジャイアンツ

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