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右代啓祐、一転して世界陸上出場へ。
「選手のための団体」のはずなのに。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/09/24 07:00
リオ五輪では日本代表選手団の旗手を務めた右代啓祐。突然の通告に我慢ならない様子だった。
知っていれば「挑戦」はできた。
結果、右代は、はねられた。
参加標準記録は8200点で、右代が世界選手権の対象となる期間内に出したベストは7872点と、そこには届いていないのはたしかだ。
ただ、ただし書きの部分を知っていれば、参加標準記録をクリアするために挑戦することはできた。右代の自己ベストは2014年の8308点。未知の数字ということではないし、少なくとも万全を期すために、チャレンジする機会を設けることはできた。
現実は、日本陸連の要項に従い右代に内定が出て、右代もまた、世界選手権に備えてきた。
結局、国際陸連から日本陸連に連絡があったのは9月6日のこと。日本陸連は引き下がらず抗議する一方、8日に右代を指導する監督らと相談し、右代本人には状況を伝えず、手を尽くすこととした。
それでも国際陸連に変化はなく、ファイナルエントリーの16日が過ぎた。
17日、右代のツイートがあり、現在へと至ることになった。
陸連に問いたい見積もりの甘さ。
“誤選出”の一因として、十種競技の出場人数が、2017年大会では32名程度とされていたのが、今回は24名程度に絞られることになっていたことがあるだろう。
ただ、国際陸連が重視しつつある世界ランキングで見れば、右代は25位だ。
また、世界に広く普及することを重視する国際陸連のスタンスからすれば、アジアの代表の1人として、選ばれて不思議はない、という見方もできる。
……事情はあるにせよ、内定を出すにあたって、日本陸連の見積もりに甘さがあったのは否めない。