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右代啓祐、一転して世界陸上出場へ。
「選手のための団体」のはずなのに。

posted2019/09/24 07:00

 
右代啓祐、一転して世界陸上出場へ。「選手のための団体」のはずなのに。<Number Web> photograph by AFLO

リオ五輪では日本代表選手団の旗手を務めた右代啓祐。突然の通告に我慢ならない様子だった。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 9月27日に開幕する陸上の世界選手権を前に、思いがけないことが起きた。

 十種競技で出場を予定していた右代啓祐が出られない事態になったのである。公に知られたのは、17日の、右代本人のツイートがきっかけだった。

「アジア選手権優勝と日本選手権優勝でエリアチャンピオン枠で世界陸上の内定をもらったのに、出発10日前に突然の内定取消しの連絡が入ったみたいです」(原文ママ)

 世界選手権代表の結団式が開催された日でもあった。

「みんなが結団式に参加している姿をSNSで見て本当に辛かった」と記してもいる。

 何が起きていたのかをあらためてたどる。

世界陸上の出場条件にあった相違。

 日本陸上競技連盟の要項では内定の条件として、「参加標準記録を満たした日本選手権優勝者」あるいは「アジア選手権と日本選手権を両方制した者」などと定められていた。これにより、参加標準記録は突破していなかったものの、両大会優勝の右代は内定を得た。

 国際陸上競技連盟の規定にも、エリアチャンピオン(アジア選手権優勝も含まれる)は自動的に世界選手権出場の権利を得る、とあった。

 ただし、その先に記されていた説明があった。10000m、3000m障害、混成種目(十種競技と七種競技のこと)、フィールド種目などは技術代表の承認が得られるか次第、と記されていたのである。

 すなわち十種競技も、アジア選手権優勝でそのまま出場権が獲得できるわけではなく、世界選手権出場にあたっては記録面も重要な条件だったのだ。

 日本陸連がそのただし書き部分を把握していたことは、18日に開かれた記者会見で明らかにされた。

 ただ、「日本のアスリートがここに引っかかると考えていなかった。右代選手はアジアチャンピオンの前にリオデジャネイロオリンピックの代表でもあり、この条項で引っかかるとは想定していなかった」(麻場一徳強化委員長)という認識だった。

 はねられる可能性はないと考えていたから、内定に関する要項を作った際、この部分の説明は省かれていた。

【次ページ】 知っていれば「挑戦」はできた。

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