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右代啓祐、一転して世界陸上出場へ。
「選手のための団体」のはずなのに。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/09/24 07:00
リオ五輪では日本代表選手団の旗手を務めた右代啓祐。突然の通告に我慢ならない様子だった。
選手、指導者が把握しとくべき?
今回の件に関連して、「選手自身や指導者が選考基準を把握しておくべきだった」という声も耳にした。だが、それには与さない。大会へどのようにすれば出られるのかを知り、現場に伝え、そして選考する責任を持つのは団体の役目だと考えるからだ。そういう意味でも、日本陸連の責任は決して小さくない。今回の場合、該当する種目に関しては、内定の条件に承認が必要である旨と、承認が出た場合に出場できることを記載する必要があったのではないか。
思い起こせば、今年7月に行なわれたユニバーシアード大会でも、競泳の2選手が代表取り消しとなった。日本水泳連盟が出場資格の変更箇所と従来通りの部分との読み違えにより、間違って選考したものだった。陸上に限らず、出場にあたっての条件に変化が起きるのは決して珍しくはない。
だからこそ、選手を支え、サポートするのが役割である各競技団体には責任が伴う。
「選手のために団体はある」
それはきれいごと、建前と見えるかもしれないが、忘れてはならない観点ではないだろうか。
20日、一転して、国際陸連からの招待で右代の世界選手権出場が決まった。ただ、この結果はともかく、その過程で浮き彫りになった課題が変わることはない。右代の健闘を期待するとともに、今後に生かしてほしいところだ。