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ブンデス1部に初昇格のウニオン。
「鉄の連帯」と「無償の愛」の魅力。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/09/14 11:00
「鉄の連帯」を見せるウニオンのサポーターたち。
スタジアムの西側、東側はすべて立ち見席!
それでも名は体を表すとの言葉通り、このクラブは、それに関わる者たちの「連帯」の下で確かに成り立っています。
ウニオンのホームスタジアムは昨今のブンデスリーガクラブの大半が採用するネーミングライツではなく、1920年に建設された当時の「シュタディオン・アン・デア・アルテン・フェルステライ(Stadion An der Alten Forsterei)」という名称が今でも用いられています。日本語に訳すと「旧林務官駐在所の傍にあるスタジアム」と長ったらしい意味合いなのですが、このスタジアムのスタンドはなんとメインの北側と南側の一部に座席が設けられているだけで、他の西側、東側はすべて立ち見席!
ライプツィヒ戦の観客動員数は収容人数より450人多い。
収容人数は2万2012人で、立ち見席が1万8395人、そして座席数は3617席のみ! なぜ立ち見席が多いのかを地元サポーターに聞くと「サッカーは立って観るもんだろ!」という身も蓋もない答えだったので知り合いの記者に聞き直すと、立ち見席にしてチケット代を安価にすることでサポーターに報いているという理路整然とした答えをいただきました。なるほど。
最寄り駅の「クーペニック」から徒歩でヴールハイデ市民公園を通り抜けて約15分。そこかしこに建てられた屋台でソーセージとビールが売られ、飲みすぎた男どもが森林の影で立ち○○するのが日常風景。でもその空間を抜けると、そこにはウニオンの“メンバー”が思い焦がれる最終目的地があります。
初めての1部でのゲームとなった先述のライプツィヒ戦の観客動員数は2万2467人と記録されました。あれ? 収容人数より450人も多いと思った方はなかなかに鋭いです。それには理由があるのです。