ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
ブンデス1部に初昇格のウニオン。
「鉄の連帯」と「無償の愛」の魅力。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/09/14 11:00
「鉄の連帯」を見せるウニオンのサポーターたち。
アイデンティティの差異に嫌悪感。
ちなみにドイツ・ブンデスリーガでクラブを運営するためには原則として親会社の名前をチーム名に入れてはならず、20年以上クラブを保有していないクラブオーナーは最高でも49%までしかオーナーシップを保有できない、いわゆる「50+1ルール」というものがあります。レッドブルの場合はその規約に抵触することで「RasenBallsport」、ドイツ語で芝生の球技という造語をわざわざ作って、その頭文字を取って「RBライプツィヒ」と名付けたのです。
これもひとつのクラブ経営の形ですから是非もありませんが、ウニオンのサポーターにしてみれば、RBライプツィヒと我がクラブのアイデンティティの差異に嫌悪感を抱くのも無理はありません。
試合開始から15分間の沈黙。
そんななか、ドイツ・ブンデスリーガが粋な計らい(?)でウニオンvsライプツィヒという宿命の対決を今季開幕戦のカードに指定しました。そこでウニオンのサポーターは、ライプツィヒのクラブ経営手法に抗議する意味合いとして試合開始から15分間の沈黙というボイコット手段に出ました。実は2014年に当時両クラブが共にブンデスリーガ2部に在籍していたときにも同じくウニオン・サポーターが15分間の無言抗議を行っているのですが、今回は栄えある1部での初ゲームの場でもあったわけで、当然賛否両論が沸き起こりました。
ウニオンの選手間でもサポーターのボイコットに賛同する者、自制を促す者に別れたりして、まさに侃々諤々。でも決行するとなれば皆が結束するのがドイツらしいところでして、結局今回も15分間の沈黙は行われたのでした。
で、その試合がどうなったかと言いますと、試合開始から15分が過ぎる直前にサポーターが「3、2、1」とカウントダウンして大歓声をあげた直後に失点……。その後も相手強力攻撃陣にシュートを浴びまくって0-4の敗戦と、ユニオンは全く良いところなくUEFAチャンピオンズリーグにもよく出場するようになったライプツィヒに完敗を喫してしまいました。