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32カ国中31位。バスケ日本代表が
這い上がるためのひとつの考え方。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYukihito Taguchi
posted2019/09/13 11:50
今大会では1試合平均9.2得点2.6リバウンド3アシスト、アメリカ戦では18得点を上げた馬場は五輪での雪辱を誓う。
期待しているからこそ、怒る。
ドイツのバスケットボールの人気は、室内競技としてはハンドボールに負けているし、プロスポーツとしてもサッカーには膨大な差をつけられている。
代表チームの人気や注目度は、現時点では日本の方がドイツをはるかに上回っている。
ただそんな国であっても、代表チームの成績に対する失望の大きさは日本とは比べものにならない。
彼らはなぜ、怒りを露わにするのか。答えはシンプルだ。
代表チームに期待しているから。自国のバスケットボールの発展を本気で願っているからだ。
それに比べて、日本はどうだろうか?
アメリカと同じ厳しいグループに割り振られたから、厳しい結果になるのは仕方がない。長らく国際舞台から離れていたのだからやむを得ない。W杯に出られたことを喜ばないといけない。順位決定戦で八村と、骨折したキャプテンの篠山がいれば違う結果になっていたはず……。
そんな空気で良いのだろうか。
「代表としてふさわしくないプレー」
思い出してほしい。ニュージーランド相手に集中力を欠いた戦いを繰り広げ、30点差という大差で敗れた後のこと。渡邊は悲壮感をにじませながら、こう話した。
「このままでは日本に帰れないです。応援してくださっている方がたくさんいるなかで、代表合宿で一緒にやってきた最後にメンバーから落ちた選手がいるなかで、最後に選ばれた12人としてふさわしくないというか、絶対にやってはいけない試合でした」
最終戦となったモンテネグロとの試合で34得点、9リバウンドと獅子奮迅の活躍を見せたあとも、渡邊はこう振り返っている。
「ニュージーランド戦が終わったときに、正直、日本代表のユニフォームを着る資格がないプレーをしたと感じました。チームとしても、代表として本当にふさわしくないプレーをしてしまいました。あの試合の後、自分自身に対して怒りが凄くわきあがってきました」
馬場だってそうだ。
「僕らが勝っていたところは1つもないと思っていて。フィジカルもそうですし、外角のシュートの確率も、リバウンドもそうですし、本当に現実を見せつけられたというか……。
どこかに浮ついた気持ちがあったのかもしれないですけど、もう一度足元をみて、この1年間、本当に死に物狂いでやらないといけないなというのはすごく強く感じました」
それだけの覚悟と決意をしている選手たちに、今大会の結果と内容で、よく頑張ったと称えることほどリスペクトを欠く行為はない。今の彼らを称えるのは、彼らに、日本のバスケットボールに、期待していないと表明するのと同じことだ。