F1ピットストップBACK NUMBER

次戦も表彰台に期待かかるホンダ!
ドイツGP快挙の裏側の白熱ドラマ。 

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2019/08/01 11:15

次戦も表彰台に期待かかるホンダ!ドイツGP快挙の裏側の白熱ドラマ。<Number Web> photograph by Getty Images

ホンダスタッフらと3位を喜びあうクビアト(手前右)。前日にはお子さんが誕生したばかりとあって嬉しさも倍増だったろう。

チーフエンジニア・本橋正充の決断。

 だが、このとき後方には最後尾スタートから猛烈な勢いでポジションを上げていたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がおり、クビアトの表彰台はまだ安泰ではなかった。ここでホンダがトロロッソにアドバイスを送る。

 残り10周。トロロッソ担当のチーフエンジニアを務める本橋正充は、信頼性を多少犠牲にしてもエンジンのパフォーマンスを上げるモードを使用する許可をトロロッソ側のレースエンジニアに伝えたのだ。

 この時点でクビアトはランス・ストロール(レーシング・ポイント)をとらえて2番手に上がっていた。したがって、たとえこのあとベッテルに抜かれても、表彰台は手にすることができる。しかし、本橋はフェラーリと真っ向勝負する決断を下した。

27年ぶり、31年ぶり、11年ぶり……。

 残り5周。

 いよいよベッテルが背後まで迫ってきたとき、本橋は「もう、行くしかない」と、さらに攻めたモードの使用許可を出す。逃げるクビアト、追い上げるベッテル――その戦いをトロロッソとホンダのエンジニアたちは興奮状態で、見つめていたという。

 惜しくも残り2周でクビアトはベッテルにかわされたものの、堂々の3位表彰台を獲得したのだ。

 ホンダのダブル表彰台は'92年ポルトガルGPから27年ぶりだが、このときはマクラーレン・ホンダの2人による登壇だった。ホンダ・エンジンを搭載する異なる2チームが共に表彰台を獲得したのは、'88年の最終戦オーストラリアGPでマクラーレン・ホンダの2台が1-2フィニッシュし、ロータス・ホンダに乗るネルソン・ピケが3位に入って以来、31年ぶりの快挙である。

 そしてトロロッソにとっても、表彰台獲得は'08年のベッテルによるチーム史上唯一の優勝以来、11年ぶり2度目の偉業だった。

【次ページ】 「胸にHマークをつけた2人が表彰台に」

BACK 1 2 3 4 NEXT
#レッドブル・ホンダ
#トロロッソ・ホンダ
#ダニール・クビアト
#田辺豊治
#本橋正充
#マックス・フェルスタッペン

F1の前後の記事

ページトップ