野球のぼせもんBACK NUMBER
ホークスは「ビジネス人材」も育成?
大学講座で専務が語った経営の裏側。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2019/08/02 11:40
九州産業大学の人間科学部スポーツ健康科学科で授業を行なう、ホークスの太田宏昭球団専務。
質問が矢継ぎ早に飛ぶ。
こうなれば学生たちも真剣だ。
「今年から外国人専用のシートが出来たとのことですが、海外からのお客様は現在何%なのかというデータが示されていませんでした。どれくらいでしょうか?」
「eスポーツへの取り組みは」
「来場者動員の変化をどのように分析しているのか」
といった質問が矢継ぎ早に飛ぶ。
じつは、昨年の春に第1回目の公開講座も覗きに来たのだが、あの時はまだ「アクセス改善のために無料バスを通してほしい」などといった意見が出る程度。球団が費用を負担してまで行うメリットやスポンサーシップを活用した売上確保などの施策提案もなく、あくまで一般ファン目線の“ワガママ”に過ぎなかった。約1年3カ月経った今、学生たちの成熟の早さには少し驚かされた。
プロスポーツという華やかな世界の裏舞台。
ホークスといえば、千賀滉大や甲斐拓也ら育成出身選手が多数飛躍を遂げたおかげで「育成の」という冠がしばしば付けられる。
どうやら球団が育て上げようとしているのは野球選手だけではないようだ。
「いやいや、次代のスポーツビジネスパーソンの担い手の育成とはまだ考えきれていませんよ。福岡の球団、福岡の企業として地元の学生という未来ある方々にとって有用なものになればとは思っています。しかし、プロスポーツという華やかな世界には必ず裏舞台があるというのも若い方々が知る機会になれば、と思っていました。そうでなければ経営は成り立ちませんからね。
今、ホークスは強いチームです。多くのお客様に来ていただけるのはそのおかげもありますが、野球が強ければ儲かるというのは間違っていると思います。そこだけに頼っていたら廃れてしまう。だから我々ホークスはエンターテイメントの最前線を常に目指しています。ただ、やり過ぎると野球ファンから怒られて嫌われてしまいます。そのバランスで常に悩みながらですが、とにかく野球へのリスペクトとエンタメの両方を徹底してやっていこうというのが今のホークスです」(太田氏)