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ホークスは「ビジネス人材」も育成?
大学講座で専務が語った経営の裏側。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2019/08/02 11:40
九州産業大学の人間科学部スポーツ健康科学科で授業を行なう、ホークスの太田宏昭球団専務。
「タカガールデー」で実地調査。
ゼミ生たちは5月の「タカガールデー」で実地調査をして事業戦略を学び、球団へ企画のプレゼンなども行ってきたようだ。それを踏まえた上で、太田専務からは<ホークスについて>、<野球事業におけるホークスの取り組み>、<野球以外の新規事業への本格的取組>の3点を柱にした講義が行われた。
ざっくりとした概要的な講話だけかと思っていたが、具体的な数字なども一部公開。立ち会った球団広報によれば「社員でも知らない人間がいるかもしれない」というデータだった。
例えば、先日まで連日盛況だった「鷹の祭典」について、太田専務はこのように語った。
チケット売上が通常の4.5倍に。
「我々ホークスは、博多どんたくや博多祇園山笠らと並ぶ福岡のお祭り、福岡の文化にしていきたいと考えています。『鷹の祭典』はファンの皆様とホークスの絆を強くし、いつも以上のワクワク感や一体感を醸成します。それをより感じていただくために、我々もマウンドの球団ロゴやホークスビジョン、フェンス広告など細かなところまでその年のテーマカラーに塗り替える。数試合のための限定グッズや飲食品も販売しており、また、同じユニフォームを着ることでファン同士の仲間意識も向上するでしょう。それによってライト層だったファンがコア層へと移っていくことが期待されます。
そして、福岡の街も巻き込み、一定期間、街がホークス一色となります。バスやタクシーの運転手さん、駅や空港、銀行、百貨店などで働く方々もユニフォームを着ているのを皆さんも見かけると思います。あのユニフォームは、じつは無料でお配りしている分ではありません。多くの企業に『鷹の祭典』へ協賛して頂いているのです。つまり賛同して買ってもらっている。この仕組みにより、協賛社数はおよそ930社、協賛売上で通常の試合の7.4倍にもなりました。グッズも2.4倍の売上です。
球場に来場されるお客様にはユニフォームを無料で配布していますが、ホークスでは2014年シーズンから曜日や対戦カードなどによって価格設定が変動する『フレックスプライス制度』を導入しました。この期間は『プラチナ価格』に設定させていただいております。それでも『鷹の祭典』に来たいとおっしゃってくれるお客様が多いので連日満員。チケット売上も通常試合の4.5倍になるのです」
こういった具合に、儲けの仕組みを余すところなく披露するのだ。