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<NBA2018-2019>
アデトクンボ「天国の父に捧ぐMVP」
posted2019/07/23 15:00

text by

宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
'18-'19シーズンMVPを受賞したバックスのエースは、キャリア6年目にして、頂点へと上り詰めた。驚くべきスピードでNBAの顔に成長した怪童。しかし、この活躍は新時代の序章に過ぎない。(Number982号掲載)
「2019年、NBAモスト・バリュアブル・プレイヤーは、ヤニス・アデトクンボ!」
6月24日、カリフォルニア州サンタモニカで行われたNBAアウォーズショーで、'18-'19シーズンのNBA各賞が発表された。その大トリで、コミッショナーのアダム・シルバーから、MVPが発表になった。
名前を呼ばれたアデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)は、ステージに向かう途中で、あふれ出る感情を抑えるかのように、一瞬、口をきっと横に結んだ。
しかし、その我慢は長くは続かなかった。スピーチを始め、家族やチームメイト、コーチ陣、フロントやオーナーなどに感謝し始めると、すぐに涙がこぼれ落ちた。
「父にも感謝したいと思います。父は今、ここにいっしょにいませんが……」
そう言う声は涙で震えていた。
アデトクンボが、本気でMVPを意識するようになったのは2年前のことだった。まだ22歳、NBAに入って4シーズン目を終えた頃だ。
この年、'17年はアデトクンボにとって大きな出来事がいくつかあった。2月にNBAオールスターに初出場。4月には2度目のプレイオフに出たが、前回と同じく1回戦で敗退。もっと自分が成長しなくてはいけないと痛感した。そんな矢先に、「MVP」という目標が示された。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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